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星野 哲記者(朝日新聞電子電波メディア本部ニュースデスク)
ケンったら本当にそそっかしいのよ。きょう、学校の宿題を家にわすれてきたんだから。
先生におこられなかった?
大丈夫。ママが気がついて、教室までとどけてくれたんだ。でもね、学校の門にかぎがかかっていて、ママはしばらく中に入れなかったんだって。
あれ? 学校の門はいつでも開いていたはずだよ。
いやいや、最近はかぎをかける学校がふえているんだ。3人は、大阪教育大学の付属池田小学校で2年前に起きた事件を知っているよね。実はこの事件をきっかけに、学校の防犯対策がかわってきたんだよ。
どういうこと?
校門にかぎ、外来の人には名札…
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| 「授業中、正門をしめる」「警察や消防への直通電話をおく」「入り口や校庭が見やすい場所に職員室をうつす」などの対策もとられています イラスト・林美香誇 |
――まず、事件をふり返ってみよう。2年前の6月8日午前、包丁を持った男が付属池田小にとつぜん入ってきて、教室にいた小学生におそいかかったんだ。副校長たちが男を取りおさえるまでの約5分間に、子ども8人が刺されて亡くなった。大けがをした子どももいた。つかまった男には、先月末に裁判所で死刑がいいわたされた。
ジャン ひどい事件。どうすればふせげたんだろう。
――男は開きっぱなしの門を通って学校に入った。途中ですれちがった先生もいたけど、悪い人とは気づかなかった。
事件後、学校の先生や専門家は事件をふせぐ方法を話し合ったんだ。その結果、多くの学校が門にかぎをかけたり、たずねて来る人に受付で名札をつけてもらったりすることにした。見知らぬ人が校内にいれば、「どんなご用ですか」と先生が声をかけることも決めた。
文部科学省は去年12月、こうした取り組みを冊子にまとめて、ぜひ参考にしてほしいと全国の学校に配ったんだ。
ケン 包丁を持った人が来るなんて、信じられないなあ。
――こわいよね。警察庁のまとめでは幼稚園から大学までの学校で起きた侵入事件は、去年1年間で約2170件。年を追うごとにふえる傾向にあるんだ。
ケン それでママもすぐに学校に入れなかったんだ。ちょっと不便な気もするけど。
――そこはむずかしいところだね。学校に用事のある人はたくさんいる。近所の人が気軽に学校行事を見に来たり、遊びに来たりしてくれればみんなもうれしいよね。
文部科学省もこれまでは「開かれた学校」といって、学校をおとずれる人を歓迎していた。だけど、犯罪をふせぐためにはあまり開放的な学校もよくない、という声もふえているんだ。
ポン 悪い人を学校に入れない方法はほかにもあるの。
――玄関に防犯カメラを取り付けて警戒する学校や、門に警備員が立って見はっている学校もあるよ。お金がかかるので、全部の学校じゃないけど……。
先生の間にもいろいろな考え方があって、たとえば京都市にある179の公立小学校はほとんどが門を開け放っている。地域の人たちの目が校内にとどく方が、不審者は入って来づらいという考え方だ。
ケン そういえば学校でかわった避難訓練があったけど。
――不審者の侵入を想定した訓練のことかな。これまで避難訓練といえば、火事や地震にそなえるものが中心だった。だけどこの2年間で、先生が悪い人の役を演じて、子どもがすばやくにげられるように訓練する学校がふえているんだ。
ポン 本当に学校でそんな事件が起きたらいやだなあ。
――心配しないで。事件はそうひんぱんには起きないから。ただ、万が一の場合を考えて準備するのは大事だよ。
学校の防犯の大切さを広くよびかけている人たちがいる。亡くなった8人の子どものお父さんやお母さんだ。不審者が来た場合、先生はどう対応するか、警察や消防にどう連絡するかなど、考えておくべきことは多いんだ。お父さんのひとりは「なぜ事件をふせげなかったのか。当時の状況をよく知り、再発を防止してほしい」とうったえている。
ジャン 事件で亡くなった子どもたちはかわいそう。
――犠牲になった子は小学1、2年生、年齢はまだ6―8歳だ。生きるよろこびを、これからまだまだ知っていくはずだった。悲しい事件が2度と起きないように、おとなは学校の安全を真剣に考えなきゃいけないね。
(03年9月6日)
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