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火星が大接近するって?

桜井 林太郎記者(朝日新聞 科学医療部)

ジャン

 「火星が地球に大接近する」という記事を読んだわ。

奥寺記者

 8月27日に、約5600万キロの距離まで近づくそうだ。

ポン

 それって、すごいの?

奥寺記者

  こんなに近づくのは約6万年ぶりで、世界各国で火星への関心が高まっているよ。

ケン

 めったにないチャンスなんだね。大接近ってどういうことなのか、観測するにはどうすればいいのか、くわしく教えて。

6万年ぶりの「近さ」 観測でもり上がりそう

イラスト・藤井龍二 国立天文台のホームページの中に、各地の天文台や科学館の火星観望会などのイベントが紹介されています。アドレスは
http://www.nao.ac.jp/J/2003/Mars2003/Events/Events.html

ポン 火星って、どんな星なの。

<図1>地球と火星の軌道。次の接近は2005年です=図1と2は愛知県の名古屋市科学館のホームページ(http://www.ncsm.city.nagoya.jp/astro/kasei2003/)から

 ――火星は、地球の「兄弟」なんだ。地球と同じように太陽のまわりを回る惑星のひとつで、地球のすぐ外側をまわっている。大きさは直径が約6800キロ。地球の半分ぐらいだ。

 ジャン どのようにして地球に近づくの。

 ――太陽のまわりを一周するのにかかる日数は、地球が365日、火星は687日だ。地球の方が早いので、火星を2年2か月ごとに追いこす。追いこすとき、地球と火星が近づいてならぶんだよ。

 ケン じゃあ、どうして約6万年ぶりの大接近になるの。

 ――地球は太陽を中心にほぼ円をえがくようにまわる。火星は少しゆがんだ円(だ円)をえがいてまわる。だから、2年2か月ごとにならぶんだけど、ならぶ位置によって距離がちがってくるんだ=図1参照。太陽に近いところでならぶのを「大接近」とよび、今回ほど近づくのは約6万年ぶりなんだよ。

 ポン 「超大接近」というわけだね。どうすれば見られるかなあ。

 ――今回の大接近で、火星は明るさがマイナス2.9等級(1等星の明るさを1としたとき、マイナス3等星で約40倍の明るさ)にもなる。しかもマイナス2等級をこす期間が2か月以上と長い=図2参照。いまの時期の夜空だと、月の次に明るいんだ。午後9時ごろ、南東の空の低いところをさがせば、赤く光っているのが見つかるよ=イラスト参照。

〈図2〉火星の大きさと明るさの変化

 8月27日以降は、火星は少しずつ暗く小さくなっていくけれど、見える時間が少しずつ早くなる。9月9日は月とならんで見えるからさがしやすい。見ごろは10月までつづくよ。

 ジャン 望遠鏡があった方がいいかなあ。

 ――大接近といっても、目で見える大きさは赤い点ぐらいだ。望遠鏡を使えば表面のもようを見ることもできる。黒っぽいのは岩の色で、赤っぽいのはその岩が風化してできた砂の色だよ。火星は地球よりややおそい24時間37分で一回転するので、観察していると見えるところが少しずつずれて、もようがかわる。そのちがいを観察するのも楽しいよ。

 ポン おもしろそう。

 ――望遠鏡を持っていなくても、各地の天文台で開かれる観望会に行けば、望遠鏡で火星を見せてもらえる。火星の南極近く(望遠鏡ではたいてい上がわ)に白い帽子のようなものがはっきり見えるはずだよ。「極冠」といい、二酸化炭素や水がこおったものらしい。

 ケン 火星は名前に「火」とつくし、赤く見えるから、暑いのかな。

 ――火星の地表の平均温度はマイナス55度で、地球とちがってとても寒いらしい。火星には、地球と同じように大気(約95パーセントが二酸化炭素)がある。火星全体をおおうような砂嵐が起こったり、台風のような雲や朝霧が発生したりすることもある。

 ポン 生物もいるのかなあ。

 ――火星人が出てくる小説も数多くあるけれど、ざんねんながら、いまのところは生物は確認されていないんだ。ただ、アメリカの探査機が以前、水が曲がりくねって流れたような地形をたくさん見つけた。水が豊富なら、生命が誕生していた可能性があるんだ。

 ケン へえっ。

 ――今回の大接近に合わせて、アメリカなどが新しい探査機を打ち上げた。火星の土の成分を分析したり、生命のあとをさぐったりする予定なんだ。

 ジャン どんな結果が出るか、待ちどおしいね。

(03年8月16日)


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