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桜井 林太郎記者(朝日新聞 科学医療部)
「火星が地球に大接近する」という記事を読んだわ。
8月27日に、約5600万キロの距離まで近づくそうだ。
それって、すごいの?
こんなに近づくのは約6万年ぶりで、世界各国で火星への関心が高まっているよ。
めったにないチャンスなんだね。大接近ってどういうことなのか、観測するにはどうすればいいのか、くわしく教えて。
ポン 火星って、どんな星なの。
――火星は、地球の「兄弟」なんだ。地球と同じように太陽のまわりを回る惑星のひとつで、地球のすぐ外側をまわっている。大きさは直径が約6800キロ。地球の半分ぐらいだ。
ジャン どのようにして地球に近づくの。
――太陽のまわりを一周するのにかかる日数は、地球が365日、火星は687日だ。地球の方が早いので、火星を2年2か月ごとに追いこす。追いこすとき、地球と火星が近づいてならぶんだよ。
ケン じゃあ、どうして約6万年ぶりの大接近になるの。
――地球は太陽を中心にほぼ円をえがくようにまわる。火星は少しゆがんだ円(だ円)をえがいてまわる。だから、2年2か月ごとにならぶんだけど、ならぶ位置によって距離がちがってくるんだ=図1参照。太陽に近いところでならぶのを「大接近」とよび、今回ほど近づくのは約6万年ぶりなんだよ。
ポン 「超大接近」というわけだね。どうすれば見られるかなあ。
――今回の大接近で、火星は明るさがマイナス2.9等級(1等星の明るさを1としたとき、マイナス3等星で約40倍の明るさ)にもなる。しかもマイナス2等級をこす期間が2か月以上と長い=図2参照。いまの時期の夜空だと、月の次に明るいんだ。午後9時ごろ、南東の空の低いところをさがせば、赤く光っているのが見つかるよ=イラスト参照。
8月27日以降は、火星は少しずつ暗く小さくなっていくけれど、見える時間が少しずつ早くなる。9月9日は月とならんで見えるからさがしやすい。見ごろは10月までつづくよ。
ジャン 望遠鏡があった方がいいかなあ。
――大接近といっても、目で見える大きさは赤い点ぐらいだ。望遠鏡を使えば表面のもようを見ることもできる。黒っぽいのは岩の色で、赤っぽいのはその岩が風化してできた砂の色だよ。火星は地球よりややおそい24時間37分で一回転するので、観察していると見えるところが少しずつずれて、もようがかわる。そのちがいを観察するのも楽しいよ。
ポン おもしろそう。
――望遠鏡を持っていなくても、各地の天文台で開かれる観望会に行けば、望遠鏡で火星を見せてもらえる。火星の南極近く(望遠鏡ではたいてい上がわ)に白い帽子のようなものがはっきり見えるはずだよ。「極冠」といい、二酸化炭素や水がこおったものらしい。
ケン 火星は名前に「火」とつくし、赤く見えるから、暑いのかな。
――火星の地表の平均温度はマイナス55度で、地球とちがってとても寒いらしい。火星には、地球と同じように大気(約95パーセントが二酸化炭素)がある。火星全体をおおうような砂嵐が起こったり、台風のような雲や朝霧が発生したりすることもある。
ポン 生物もいるのかなあ。
――火星人が出てくる小説も数多くあるけれど、ざんねんながら、いまのところは生物は確認されていないんだ。ただ、アメリカの探査機が以前、水が曲がりくねって流れたような地形をたくさん見つけた。水が豊富なら、生命が誕生していた可能性があるんだ。
ケン へえっ。
――今回の大接近に合わせて、アメリカなどが新しい探査機を打ち上げた。火星の土の成分を分析したり、生命のあとをさぐったりする予定なんだ。
ジャン どんな結果が出るか、待ちどおしいね。
(03年8月16日)
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