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星野 哲記者(朝日新聞 電子電波メディア本部ニュースデスク)
パパが新聞を読みながら「ロースクールかあ。おれも挑戦しようかな」ってつぶやいていたんだ。
そうかあ。本気で挑戦するのかな。
どうかしら。ママがその場で「無理、無理」って笑ってたわ。
ロースってお肉のこと?
ロースじゃなくて、ロースクール。英語でローは法律、スクールは学校の意味だ。「法科大学院」という、法律を勉強するための新しい学校のことだよ。来年の春から開設されるんだよ。
ジャン 法律の学校なら、いまでも大学や専門学校がいっぱいあるじゃない。
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| 来年春の「ロースクール」開設に向けて模擬授業を行う大学もあります=京都産業大学で |
――そうだね。でも、目的がちがう。いまは大学で法律を学んだあと、裁判官や弁護士などの法律家になれる人は少ない。ロースクールは、法律家になる人をふやすのが目的の学校。国民が裁判を十分に活用できるようにするには、いまのままだと法律家が足りないということで、国が新しい制度を考えたんだ。
ケン そもそも、どうしたら法律家になれるの。
――いまは司法試験という、とてもむずかしい試験に合格する必要がある。昨年度のばあい、合格者数は全部で1200人足らずだった。受かった人の割合は百人に数人程度だ。
ポン ひゃー、むずかしそう!
――大学生のときから司法試験のための勉強にかかりきりになって、やっと合格する人も多いことから、「法律家には社会常識がない」という批判がある。
ロースクールには大学生だけでなく、会社員ら社会人を入学させるようにと国は指導している。授業の内容も、法律の勉強だけでなく、弁護士から直接、仕事の内容を学ぶことなどもできるようになるはずだ。
ジャン ロースクールをつくっても、司法試験が大変なら何もかわらないような気がするけど。
――そうだね。だからロースクールを終えた人を対象に、司法試験とは別の新しい試験を始めるんだ。ロースクールでは2年か3年勉強する必要があるから、2006年からスタートする。国は「学生の7、8割が合格する教育により、2010年には3千人が合格する」ことをめざしているよ。
ケン いまの司法試験はなくなるということ?
――2010年まではのこる。法律家をめざす人は、しばらくは「司法試験で受験しようか、ロースクールに入って新しい試験を受けようか」となやむだろうね。
ケン ロースクールは、どこにできるの?
――大学が中心になって、全国に72校開く予定だよ=地図参照。実際に開かれる数は、11月に文部科学省の審議会の審査をへて決まるけど、予定の学校は東京や大阪といった大都市圏に集中していて、ロースクールがない県が24もある。
ジャン じゃあ、会社につとめながら通うなんてできない地域が多いのね。
――その通り。それに会社員だと平日の昼間に通うのは無理だよね。でも、夜間や休日に授業をする予定の学校は数えるほど。社会人を優先的に入学させるわくも、たとえば東京大学のロースクールで定員の300人のうち5人以上。多いとはいえない。勉強時間があまりとれない社会人が、大学生と同じ入学試験に受かるのはけっこう大変だ。
ポン パパはやっぱり無理か……。
――学校の質もどうなるか、まだわからない。法学部がない大学がロースクール開設を予定していたり、定員も30人から300人まで幅があったりするからね。国は、どんな教育が行われるかチェックする「評価機関」をもうけるなどして指導するというけど、それはそれで心配なんだ。
ケン 何が?
――教育内容を国が指示して、国にとって都合がいい人材をふやすおそれがある。「三権分立」といわれるように、裁判所は内閣(政府)や国会からは独立して公正な判断を下さなければならない。国があまり口を出さない方がいいという声もあるんだよ。
(03年7月12日)
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