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佐々木 英輔記者(朝日新聞くらし編集部)
「『食の番人』登場」って新聞で読んだけど、何だろう。
7月1日にスタートした政府の食品安全委員会のことだね。七人の委員が中心になって、食べ物が人の健康にどんな悪い影響をあたえるかを調べるんだ。
いままで調べてなかったの?
農林水産省や厚生労働省が担当していたけど、うまくいかないことがあったんだ。BSE(狂牛病)って聞いたことあるだろう。
うん。それが関係あるの?
ケン BSEってどんな病気だっけ。
――イギリスで広がった病気で、牛の脳がスポンジのようにスカスカになって死んでしまう。日本語では「牛海綿状脳症」というんだ。えさが原因らしい。7年前、牛肉を食べた人にうつるかもしれないから問題のあるえさを禁止するよう、国際機関がよびかけたんだ。でも、日本は十分に禁止しなかった。そして2年前、日本でもBSEの牛が見つかった。
ジャン 給食で牛肉が出なくなったのをおぼえてるわ。
――家畜やえさの安全性は農林水産省、人の健康は厚生省(いまの厚生労働省)が担当していた。専門家や厚生省はBSEは大変だと思っていたのに、かんじんの農水省がにぶかった。あちこちの国でBSEが発生しても、きちんと手を打たなかった。
ポン 何でなの。
――農林水産省は農業や畜産業をさかんにするのが仕事なんだ。あぶないといえば、売れなくなっちゃうだろう。これまでも、つくる側ばかり気にして食べる側の消費者を軽く見ていると批判されてきたんだ。
ジャン BSEもこわいけど、政府がしっかりしてないほうが不安だなあ。
――そうなんだ。BSE発生で政府への信頼が落ちて、よけいに牛肉が売れなくなった。つくる側の人たちもそれは望んでないよね。そこで、食べ物の安全を見はる、信頼できる組織をつくらなければだめだとなったんだ。
ケン どうかわったの。
――委員会は、食べ物にどんな危険性がひそんでいるか、どれくらいまでなら食べても大丈夫かを科学的に調べて公表する。農林水産省や厚生労働省はその結果をもとに対策を立て、取りしまったりする。委員会はそれがちゃんと実行されているかどうか見はり、首相を通じて注意することもできるんだ。
科学的なデータをもとに、公開で話し合うから、まわりの人の損得にふりまわされなくてすむはずだ。農林水産省と厚生労働省でばらばらにやることもなくなる。
ジャン これから何を話し合うの。
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| BSEさわぎの後、牛肉売り場に客足がもどるまで長い時間がかかりました |
――使っていい農薬や添加物を審査する。BSEや、お米にふくまれ腎臓に悪いといわれるカドミウム、もとの牛のコピーとしてつくられる体細胞クローン牛は安全か、なども課題だ。7人だけではできないから、約200人の専門家にくわわってもらうよ。
ほかにも、食中毒を起こす細菌やウイルス、カビが出す毒、家畜に使う薬、水銀、ダイオキシン、遺伝子組みかえ作物……。
ポン あぶないものってそんなにたくさんあるの!
――そもそも絶対に安全といいきれる食べ物はないんだ。塩やさとうも取りすぎれば害になるのだから、神経質になりすぎてもいけない。食べ物の多くは何十年、何百年と人が食べてきたので、ほぼ大丈夫とわかる。
でも、いまになって新たな危険性が見つかることもあるんだ。もちろん遺伝子組みかえ食品などはいままで食べた経験がない。だから、実験などでどのくらいあぶないかをしっかり調べないといけないよね。
ジャン これで本当に安心なの?
――委員が専門家ばかりで消費者の代表が入っていない、と首をかしげてる人もいるよ。委員も毎日食事をするんだから、食べる人を一番に考えてほしいね。
ジャン 小学生も消費者よね。委員会の人にはわたしたちにもわかるように説明してほしいな。
(03年7月5日)
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