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最古16万年前の化石発見 「単一起源説」を裏づける
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河合 信和記者(朝日新聞総合研究本部)
「ホモ・サピエンス」の化石がアフリカで見つかったんだってね。
この前、イギリスの科学誌で発表された約十六万年前の頭骨の化石のことだね。アメリカのカリフォルニア大学と東京大学の国際チームが発見したんだ。
ねえねえ、そのホモ・サピエンスって、なんなの。
わたしたち現代人のことさ。学名ではそうよぶよ。ラテン語で「知恵あるヒト」という意味なんだ。この発見によって、わたしたち現代人はみなアフリカが起源だと明らかになってきた。
ぼくたちの祖先のことって興味あるなあ。くわしく教えて。
――いま、世界中に62億人をこえる人々が暮らしているけれど、肌の色がちがっても、みんな同じホモ・サピエンスの一員なんだ。いまから約3万年前に、わたしたちとはちがう別の人類が絶滅して、人類はただ一種、ホモ・サピエンスだけになった。そのホモ・サピエンスのもっとも古い化石が、アフリカのエチオピアで見つかったというわけだ=地図参照。
ジャン 何がすごいの?
――今回の発見は「アフリカ単一起源説」を裏づけるんだ。
ポン なにそれ?
――約20万年前にアフリカに誕生した新しいタイプの人類が、数万年前までに世界中に広まったという考え方だよ。
現代人の起源については、これまでもアフリカ単一起源説という考え方が有力で、わたしたちの体の中にある遺伝子を調べた結果からも支持されている説なんだ。母親からしか伝わらない特別な遺伝子で考えると、世界中の人たちの祖先は、アフリカのたったひとりの女性にたどりつくという説もあるよ。
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| 頭骨の化石のひとつは、ほぼ完全な形で見つかりました(上の写真)。下は復元図です=どちらもカリフォルニア大学バークリー校提供 photo(c)2001
David L.Brill/Brill Atlanta |
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ケン すごーい!
――アフリカ人以外の現代人は、10数万年前ごろにアフリカから中東に出たホモ・サピエンスの子孫というわけだ。今度の化石はアフリカで、その年代に近いものが発見されたのだから、化石の証拠の面からも、アフリカ単一起源説をさらに確実にしたといえるんだ。
ポン ふーん。
――それに、これまでアフリカと中東のイスラエルで、古いホモ・サピエンス化石が見つかっていた。だけど、アフリカの化石は10万年前ごろというだけで年代ははっきりしなかったし、イスラエルの化石は九万年前ごろのものだ。今度の発見は、それを一気に約6万年も古くしたばかりか、年代もたしかなものなんだ。
ケン ほかにもすごいことがあるの。
――男の人ふたりと子どもひとりの3つの頭骨などが見つかったんだけど、そのうちのひとつがほぼ完全なものだった。10万年前くらいのアフリカのホモ・サピエンス化石は破片がほとんどで、今度のものはその点でもずばぬけているんだ。
ポン 完全だと、どうしていいの。
――いろいろな特徴が読みとれるからさ。おかげで脳の大きさ(容積)が1450ccだとわかった。人類の起源は約700万年前までさかのぼれるけど、古いものほど脳は小さいんだ。この骨の脳の大きさは、現代人の平均よりもやや大きいくらいだった。
ケン へえー。
――いっぽうで、目の上の骨の出っぱりが大きかったり、頭の後ろの角度がするどかったりと、けっこう古い特徴も見られるんだ。ホモ・サピエンスとしては、誕生したてというところかな。
ジャン さっき、別の人類が絶滅したっていったけど、ホモ・サピエンス以外に人類がいたの。
――そうなんだ。アフリカを中心に猿人や原人など、いろいろな学名のついた祖先があらわれたけど、いまはわれわれホモ・サピエンス以外はすべて絶滅してしまった。いまから200万年前ごろにあらわれた原人(ホモ・エレクトス)の一部は初めてアジアに、その後ヨーロッパに進出したけど、わたしたちホモ・サピエンスとは関係がなかったんだ。
ケン それらも絶滅したんだね。
――うん。ただ、学者の中にも少数だけど、そのことをみとめない人たちがいて、アジアの北京原人やジャワ原人、ヨーロッパにいたネアンデルタール人が、それぞれの地域に住む現代人に進化した、と考えている。この考え方を「多地域進化説」というんだ。
ジャン でも、世界中の人がアフリカ人の子孫とわかったのね。
――しかも、人類の歴史から見て比較的新しい20万年前ごろのね。肌の色や髪の毛の特徴、顔や姿のちがいは、その後に暮らした土地にふさわしいようにできあがったんだろう。だから、体の特徴で人を差別することがどんなにまちがったことかわかるね。
(03年6月28日)
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