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星野 哲記者(朝日新聞電子電波メディア本部ニュースデスク)
この車、カーナビつきなんだ。便利だね。
初めて行くところでも、電話番号や名前がわかれば案内してくれるんですものね
でも、そのためにカーナビをつくる会社は、たくさんの個人情報を集めているわけだ。だから、国会でいま話し合われている「個人情報保護法案」については、カーナビをめぐる議論もあったんだよ。
どんな議論なの?
ジャン 個人情報って、わたしたちの情報でしょ?
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| 役所への規制があまいといわれる「個人情報保護法案」。情報のあつかいを慎重にしようと、あつかう人を指紋でたしかめるシステムをとり入れる市役所もあります=写真上。いっぽうで、職員が市民の個人情報をのぞき見したとされる三重県四日市市は、コンピューターから個人情報に接続した記録を公開しました=写真下 |
――そうだね。名前や生年月日、住所、電話番号など、その人がだれかわかる情報だ。個人情報はふつう、親しい人や学校などにしか知られていないはずだけど、お金で売り買いされていることがある。きみたちにも、知らない会社から「これを買って」「そろそろ塾に通いませんか」といった手紙が来たことがあるんじゃないかな。
ケン たしかに、あるなあ。
ポン なんだか気持ちわるーい。
――そこで、国会で話し合われているのが個人情報保護法案。大事な個人情報がきちんとあつかわれるようにしようという法案だ。
ポン じゃあ早くできるといいね。
――いや、そうともいえない。この法案は去年も国会で話し合われたけど、成立しなかった。
ポン なんで?
――新聞やテレビなどの取材活動には、個人情報を集めることが欠かせない。たとえば、政治家が悪いことをしたとき、その人についてくわしく調べる。前の法案だと、政治家が「個人情報だから、調べるのは法律違反だ」といって、取材をおさえつける心配があったんだ。
ジャン それは、こまるわ。
――それに、民間会社のことは法律で規制しながら、情報がたくさん集まる役所はほったらかしだという批判もあった。それで政府は「批判された点を直しましたよ」と、ことしになってまた法案を国会に出した。
ケン 見直したのなら問題がなくなったんじゃないの?
――いや。たとえば取材をおさえつける心配については「報道機関は、この法律で規制しない」としたんだけど、どれが「報道」にあたるかを国が決められるようにした。だから、やっぱり心配は消えていない。
役所も法律の対象にしたけれど、「不正な方法で個人情報を集めてはいけない」という規則が民間会社にはあるのに役所にはないなど、役所にあまい内容なんじゃないかといわれているんだ。
ケン なんか不公平だなぁ。
――先月、防衛庁が自衛官を募集するため、多くの市町村から十八歳前後の人たちの個人情報を受け取っていたことがわかった。家族関係や職業、健康状態など、見せることが法律でみとめられていない情報まで出した市町村もある。この問題もあって、不正に情報を集めないルールが役所にも必要だという声が多いんだよ。
ジャン まだまだ問題があるのね。
――うん。あいまいな部分が多い法案なんだ。さっきいいかけた「カーナビ」の話が一例だよ。
ケン そうそう、カーナビの話、つづきを聞かせてよ。
――衆議院で法案について話し合うなかで出た話だ。「お米屋さんがカーナビを使って配達をしたら、法律で規制される、個人情報をあつかう民間業者になるのか」という質問が議員から出た。
国の役人は「個人情報がたくさん入っているカーナビを商売に使うのだから規制される」と答えた。ところが、同じ質問に大臣は「カーナビをつくった業者は対象だけど、買って使った人が対象になるのは常識的におかしい」と、まったく逆の答えだった。
ポン ???
――個人情報をめぐるトラブルが起きたとき、法律の罰則がだれまでおよぶのかという大事な部分さえあいまいなことがわかる。
ジャン なんだか不安になってきたわ。
――法案は、今月六日に衆議院で可決されたけど、これから参議院の話し合いがある。自分たちの情報がきちんと守られる法律になるのか、議論のゆくえを見守らないとね。
(03年5月17日)
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