曽我 豪記者(朝日新聞政治部)
4月に全国のあちこちで、選挙があるんだって。
統一地方選挙っていうのよね。
へえ、よく知ってるねえ。
衆議院とか参議院とかの、国会議員をえらぶの?
いいや、そうじゃない。もっと、みんなの住むまちやくらしのことに関係の深い人たちをえらぶ選挙なんだ。
どういうこと?
よし。きょうは、その話をしよう。
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あと1か月ほどにせまった統一地方選挙。もうすぐ、選挙カーで街をまわり、街頭で演説をする候補者の姿が各地で見られます=写真合成 渡辺英明 |
ケン ぼくたちにも関係の深い人たちって、どんな?
―都道府県の知事や、市区町村の長、それから、それぞれの議会の議員をえらぶんだ。
ポン ぼくたちに関係が深いの?
―そうさ。まちに図書館や公園をつくったり、学校の施設をととのえたり、地域の人が気持ちよくくらせるようなルールをつくったり……。地方の長や議員は、そういう仕事をするわけ。
だから、どんな考えで、どんな仕事をしてくれそうな人をえらぶか、くらしにかかわる身近な選挙なわけさ。
ポン ぼく、選挙は好きだよ。
―えっ、投票できないのに?
ポン パパやママについて投票所に行くと、ときどき風船がもらえるもん。
ジャン いつあるの?
―ことしは、4月13日と27日。13日には、知事と都道府県議会の議員、27日は、市区町村長と議員をえらぶ。
東京や北海道など11都道県の知事選をふくめ、約2300の選挙がある。
ケン なぜ、統一地方選挙っていう名前なの?
―国会議員をえらぶ選挙を国政選挙という。これに対して、都道府県や市区町村の長、または議会の議員をえらぶ選挙が地方選挙。これを、全国いっせいにやるから「統一」というのさ。
ジャン どうして、いっせいにやるの。
―まとめてした方が、選挙の事務をする各地の役所の仕事が楽だし、お金も節約できる。それに、各地でいっせいにやれば「さあ、選挙だぞ」って、選挙権のある大人の人たちに関心を持ってもらえるだろ。
ポン 気分をもりあげるわけか。
―ま、そんなところかな。
ジャン 統一地方選はいつから始まったの。
―最初に行われたのは、戦争が終わって間もない1947年4月だ。日本の選挙のしくみは終戦で大きくかわった。まず、女の人も選挙に参加できるようになった。戦前は男の人だけだった。
ジャン まあ!
―それに、都道府県の知事や市町村長を選挙で住民が直接えらべるようになった。戦争前は、国が知事をえらび、その知事が市町村長をえらんだり、みとめたりしていたんだよ。
ポン へぇー。
―知事や議員として仕事をする期間(任期)は4年だから、統一地方選は4年に1回、春に行われることになったんだ。
ただ、任期のとちゅうでやめる知事や市長が出たり、議会が解散したりするケースもある。そのため、50年以上たつ間に、だんだん選挙時期がずれてきた。だから、統一といってもすべての地域がそろうわけじゃない。
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総務省の資料から
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ジャン さっき、いっせいにやるのは、みんなの関心を高めるためっていったでしょ。その効果はどうなの?
―投票した人の割合をしめす投票率は、少しずつさがってる=グラフ参照。
ケン なぜだろう。
―政治家がわいろをもらうなど、ずるいことをする事件がなくならなくて、大人の人たちがいやになってしまったんじゃないか、ともいわれている。
ジャン こんどの選挙はどうかしら。
―ひとつは、今度もまた「無党派」の人たちの判断が注目されるってことだね。
ポン むとうは?
―応援する政党を決めていない人のことだ。そういう人たちは、そのときの政治のようすで、だれに投票するかを決める。いまは自民党を支持する人より無党派の人のほうがずっと多いといわれる。
無党派の人たちの判断によっては、有力と思われた党の候補者が、ほかの党の人や、どこの政党にもぞくさない人に大敗するっていうケースだってめずらしくない。統一地方選挙の結果は、国会議員の選挙にも影響をあたえるといわれているよ。
ケン そういう大事な選挙だって、パパやママにも教えてあげるよ。
(03年3月17日)
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