|
服部 尚記者(朝日新聞科学医療部)
パパが、国の原子力発電の政策はどうなるのかなあっていってたけど、何のことかしら。
それは、福井県敦賀市にある高速増殖原型炉「もんじゅ」に関するニュースを見たんじゃないかな。
どんなニュース?
名古屋高等裁判所の金沢支部が、国がもんじゅをもうけるのを許可したのは無効だという判決を出したんだ。
待って待って、もんじゅって?
よーし、きょうは、もんじゅの役割や判決の意味を説明しよう。
 |
| 高速増殖原型炉「もんじゅ」。ナトリウムもれの事故が起きてから運転はとまったままです=福井県敦賀市で、朝日新聞社のヘリから |
ジャン 高速増殖原型炉って、何?
―国が先頭に立ってつくった新しい原子力発電所(原発)だよ。1991年に完成したけど、まだ研究開発の段階だ。
ポン どんな特ちょうがあるの?
―ふつうの原発は、石油と同じように地下にあるウラン鉱石をほり出して核燃料にして使っている。ウランは核兵器の材料にもなるすごいエネルギーをもっているからね。
高速増殖原型炉の「増殖」は、ふやすこと。ふつうの原発でウランをもやしたあとの、使用ずみ核燃料を再利用して電気をおこしながら、プルトニウムという物質をたくさんつくり出すことができる。「夢の原子炉」ともよばれるよ。
ジャン プルトニウムって?
―ウランとちがって、天然の資源じゃないんだ。爆発させるとものすごいエネルギーを生むので、ウランと同じように核兵器の材料にもなるし、ふつうの原子力発電所の燃料にもなるんだ。
ケン そうか。「もんじゅ」でふやしたプルトニウムを使えば、電気がどんどんつくれるね。開発は進んでいるのかな。
―いや95年に、原子炉を冷やすナトリウムがもれる事故が起きてから運転を休んでいる。
ポン そうなの?
―プルトニウムは、人があびたら命の危険にかかわる物質でもあるから、もんじゅの安全性に疑問を持った地元の住民らが中心になって、国の運転許可は無効だと裁判所にうったえた。
地方裁判所の最初の判決では、住民側のうったえがしりぞけられたけど、高等裁判所でのやり直しの訴訟で「無効」の判決が出された。チェックを担当する原子力安全委員会にあやまりがあり、重大な事故を起こす危険性もあるという理由だ。国にとっては、ショックな判決だよ。
ポン なんでショックなの?
―国は使用ずみ核燃料をすてずにリサイクルすることを、原子力政策の中心にしようと考えているからさ。
核燃料になるウランは天然資源なのでかぎりがある。火力発電の燃料になる石油や石炭、天然ガスもいつかはなくなる。日本にはそうした天然資源はほとんどなく、輸入にたよっているんだ。
ケン だから、国は自分たちでつくろうと考えたのか。
―そう。国は、石油やウランが輸入できない事態になったら電気がつくれないという危機感をもっている。プルトニウムを国内でつくれたら、輸入にたよらなくても大丈夫だと考えた。
ポン えーっ。電気をつくれなくなるかもしれないの?
―あわてないで。石油は少なくとも40年分はあるといわれているし、ウランも60年分はある。将来的には、太陽光、風力発電をふやすことや、「燃料電池」とよばれる新しいエネルギー源の登場も期待できる。
ケン これから、どうなるの。
―国は、「もんじゅ」設置の許可が有効か無効かあらためて判断してほしいと、最高裁判所にもとめているんだ。最高裁判所が、高等裁判所の判断を支持すれば、国は「もんじゅ」を取りはらって、原子力発電の政策を大もとから考え直さないといけなくなる。どう判断されるか、目がはなせないよ。
(03年2月10日)
|