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村田 泰夫記者(朝日新聞編集委員)
近ごろ新聞やテレビで、FTAってよく出ているけど、なんのこと?
わかった! 「ふたりで、楽しく、遊ぼう」の頭文字じゃないの。
ざんねんながら、ちがうんだな。英語の「Free Trade Agreement」の頭文字だけど、日本語になおすと「自由貿易協定」というんだよ。
ふーん、その自由貿易って?
ちがう国の人と、物を売り買いすることを貿易というんだ。その貿易をふやしてさかんにすることが自由貿易なんだ。
それが、どうして話題になっているのかしら。くわしく教えて。
関税を低くするかゼロにする国同士の約束
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| 日本と東南アジア諸国連合の特別会議のようす。小泉首相は左手前から3人目=12月11日、東京・元赤坂の迎賓館で、代表撮影 |
ケン ママの手伝いでスーパーに買い物に行くけれど、なにもこまらない。自由だよ。おこづかいでお菓子を買ったときは、ママにしかられる「じゃま」が入るけれどね。国がちがうと、勝手に売り買いできないの?
――そうなんだ。国内では、買った人が消費税さえはらえば、あとは自由だ。でも、よその国から物を買うとき、つまり輸入するときは、「関税」という税金をはらわないといけない。
ポン 関税?
――関税の「関」は、関所という意味。昔、日本のおもな街道には関所があった。「箱根の関」とかね。そこを通る人は、身元や持ち物を調べられた。いまでも、空港には関所のようなコーナーがあって、パスポートを持っていないと外国へ行ったり外国から日本に入ったりできない。外国で買ったおみやげは、量が少ないと税金を取られないけど、量が多いと税金を取られるんだ。たばこ、ウイスキー、香水などには、関税のかからない限度が決められている。
ジャン なぜ、そんな関税をとるの?
――昔は、その土地を治めるお殿様が財政をゆたかにするお金がほしくて税金を取っていた。でもいまは、国が安い外国製品がどんどん入ってこないようにして、国内の会社を守ってあげるために関税をかけていることが多いんだ。
ケン どうして、国内の会社を守ることになるの。
――中国で働いている人の賃金は、日本の20分の1から30分の1。ものすごく安い。安い費用でつくった製品は……。
ジャン 安く売れる。
――そう。激安だから、日本国内で製品をつくっているメーカーはとてもやっていけない。日本の会社が競争に負けてつぶれないように、国は輸入品に高い関税をかけている。
ジャン 関税は、だれがはらうの?
――外国のものを輸入する業者がはらうよ。
ケン よかった! ぼくたちがはらうんじゃないんだ。
――それが、そうじゃないんだなあ。輸入業者は、輸入した品物の値段に、かかった関税のぶんをうわのせする。だから、輸入品は関税のぶん高くなる。けっきょく、買う人にはね返ってくるんだ。関税をかけることで、もともと高い国産品も輸入品と対等の競争ができるというわけさ。
ポン それじゃ、外国からの輸入がふえないね。
――だから、どの国も、ほかの国と話し合って、おたがいに関税を少なくするとか関税をゼロにしようとしている。この話し合いを「貿易自由化交渉」とよぶんだ。そして、話し合いがついたときに取りかわす約束が「自由貿易協定」なのさ。
ジャン 日本はどの国とむすんでいるの?
――まだシンガポールとしかむすんでいない。世界中には190もの協定がむすばれているのに、日本はたった1か国だからおくれている。
ポン なんで?
――さっきもいったけど、外国の安いものが売られるようになったら、日本の生産者がつぶれてしまう。とくに農業などが心配されているから、慎重に話し合いをすすめているんだ。
ケン なるほど。
――でも、12月に東京で開いた日本・ASEAN(東南アジア諸国連合)特別首脳会議で、タイ、フィリピン、マレーシアと自由貿易協定の話し合いを始めることになった。もしかすると、協定はこれからどんどんむすばれるかもね。
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| 自由貿易協定(FTA)をむすぶ動きは世界のあちこちであります。イラストのなかの「米国」はアメリカ、「欧州」はヨーロッパのことです |
(03年12月20日)
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