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危険な状態が続くイラク

桜井 泉記者(朝日新聞外報部)

ジャン

 イラクで、日本人外交官ふたりが殺されてしまって、大変なことになっているね。

ケン

 アメリカ軍(米軍)のほかに、スペイン、イタリア、ポーランド、デンマーク、それに韓国にも死者が出てる。戦争がまだつづいているみたいだけれど。

桜井記者

 イラクでは、アメリカとイギリスの軍隊がことし四月に、独裁者だったフセイン大統領の政権をたおした。アメリカのブッシュ大統領は5月1日に「戦争が終わった」と宣言した。それからはアメリカ・イギリス軍が占領している。ところが、現地はまだ、危険な状態がつづいているんだ。

 アメリカ軍以外への攻撃も相次ぐ

  ジャン どんな人たちがアメリカ軍を攻撃しているの?
 ――イラク国内には、フセイン元大統領を支持する人たちがまだいる。それからアメリカをきらう人たちが、まわりの国から入ってきて攻撃にくわわっているともいわれている。武器は、あちこちで売られていて、お金を出せばかんたんに手に入るんだ。
 ケン 「自爆テロ」とよくいうけれど何なの?
 ――犯人が車に爆弾をつんで、建物につっこむんだ。犯人もそのまま死んでしまう。
 ポン ねらわれているのはアメリカだけじゃないよね。

 ――8月に国連の現地本部が攻撃され、国連の代表ら20人以上が死亡した。10月には赤十字国際委員会の建物も攻撃された。国連や赤十字は、アメリカやイギリスのためではなく、国際的な立場から、イラクの国づくりに役立つ仕事をしている。そういうところもねらわれるようになったんだから、現地は大変危険な状態だ。そしてついに日本人の犠牲者も出てしまった。

自衛隊が送られる予定のイラク南部・
サマワ。オランダ兵が警備しています

 ジャン 自衛隊はイラクに行くの?
 ――小泉純一郎首相は、アメリカからもたのまれていて、自衛隊をイラクに送るといっている。でも、いつ送るかは、まだはっきりといっていないんだ。ことし中とされていたけれど、早くても1月になりそうだ。
 ポン 自衛隊は何をしに行くの?
 ――川の水をきれいにして人々に飲み水を提供したり、病院や学校を直したりする。飛行機で食糧や薬などを運ぶことも考えている。
 ケン 現地の人たちのためになることをしようとしているのに、攻撃される危険性があるのかな?

 ――イラクでは、日本の自衛隊を歓迎する声がある一方で、フセイン政権がどんなに悪い政権であっても、文化がちがう外国人に支配されるよりはいいと思っている人もいる。日本は、アメリカのイラク攻撃を真っ先に支持した国なんだ。自衛隊を派遣すれば、攻撃される可能性はあるんだ。

バグダッドで、爆弾テロの現場を調べるアメリカ兵ら

 ジャン イラクのどこに行くの?
 ――日本人の外交官が殺された北部のティクリート周辺は、フセイン元大統領の故郷にも近く、もっとも危険な場所といわれている。自衛隊はサマワという南部の都市に行く予定で、日本政府の専門調査団は「治安は安定している」といっている。それでも、同じ南部で「安全だ」といわれていたナーシリヤで11月、イタリア警察軍が攻撃されて、19人が死亡した。どこで何が起きるかわからないよ。
 ケン 自衛隊がもし攻撃されて犠牲者が出たら大変なことになるよね。
 ――自衛隊が戦闘にまきこまれたら、戦わないわけにいかないよね。でも日本の憲法は海外で武力を使うことを禁止している。だから、派遣はもっと慎重に考えるべきだという声が以前からあった。
 そして自衛隊は、これまでカンボジアや東ティモールなどの海外で活動をしてきたけれど、攻撃されて死者を出したことはないんだ。そんなことになれば、小泉政権に対する批判が高まるだろう。
 政府はもうすぐ自衛隊派遣の基本計画を決める。でも時期は慎重に見きわめようとしているんだ。

(03年12月6日)


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