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前地 昌道記者(朝日新聞経済部)
こまっている会社を、国が助ける仕組みができるって、パパがいっていたけど。何のことかしら?
きっと、産業再生機構のことだね。いまの国会で話し合われて、ことしの春にできる予定なんだ。一部の仕事は前だおしで始めるそうだよ。
なんか、むずかしそうな名前だなぁ。
かんたんにいえば、重い病気にかかった会社を治療する「会社の病院」みたいなものだ。つくる目的や役割を説明しよう。
ケン 産業再生機構って、国の役所なの。
―ちょっとちがう。国が銀行などとお金を出しあってつくる株式会社だ。でも、国が使うお金が多いし、社長をだれにするかといった重要なことは国が口を出すんだ。
ジャン 何のために、つくられるの。
―みんなも知っている通り、いまの日本は不景気が長びいて、調子がおかしくなった会社がたくさんある。会社は物やサービスを売ってお金をもうけるけど、思ったように売れなくなったら……。
ケン 赤字になる。
―そう。赤字が短い期間ならたえられるけど、それがずっとつづくと大変だ。銀行から借りたお金を約束通りに返せない会社も多いんだ。
ポン 銀行もこまっちゃうね。
―その通り。銀行に予定通りお金が返らなくなり、お金を返せなくなったときにもらう約束の土地などの値段もガタ落ちした。これらは不良債権とよばれる。再生機構をつくるのは、早く不良債権をへらして銀行を元気にし、日本経済をよくしようという取り組みのひとつなんだ。
ポン ふーん。
―ただ、銀行が不良債権をへらそうとして、会社に貸したお金をむりに取りもどそうとしたり、お金をあまり貸さなくなったりすると、会社をつづけられないかもしれない。
ケン 銀行だけ元気になっても会社が倒産したらこまるってことだね。
―そう。お金を借りている会社もいっしょに元気にしようというのが、機構の仕事なんだ。民間の会社が生きるか死ぬかに、国がかかわるべきではないという意見もあるんだ。
ジャン どうやって会社を元気にするの。
―まず、その会社が元気になれるかどうかを「診断」するんだ。再生機構のなかの産業再生委員会が受け持つ。会社が生きのこれるかどうかを決めるので、委員会を「えんま大王」とよぶ人もいる。
ポン なんか、こわそう。
―しかも、こまっている会社すべてを助けるわけじゃないんだ。助けるには、きびしい条件がある。自分で努力をしない会社は助けない。
ジャン 助けると決めたらどうするの。
―会社はいろんな銀行からお金を借りている。再生機構は一番多くお金を貸している銀行(メーン銀行)以外の銀行から、お金を返してもらう権利を買う。それでメーン銀行といっしょに会社を「治療」するんだ。
ケン 治療って?
―会社が考えた立て直しの計画にそって進める。返せないほどの借金は帳消しにする。赤字がつづいていれば、もうからない仕事から手を引かせ、働く人が多すぎればやめてもらう。いわゆるリストラだ。合併といって、ほかの会社といっしょになってもらうこともある。
ジャン それで元気になるんだ。
―治療はかんたんじゃないから、うまくいかないこともある。失敗すれば、こまるのは会社だけでなく、再生機構もお金を使っただけで損をしてしまう。損をおぎなうためにみんなの税金が使われる可能性もあるから、再生機構の仕事ぶりに注意する必要があるよ。
(03年1月29日)
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