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国際編;小倉 いづみ記者(朝日新聞外報部)
中国で起きた事件が、大きな話題になっているわね。
ぼくも知ってる。日本の、なんとかいう施設で、5人がつかまえられたんでしょ。中国のおまわりさんが門のところで、女の子をおぶった女の人を引きずり出そうとしている写真を新聞で見たよ。
5人は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の人とみられていて、ほかの国にのがれようと、総領事館に助けをもとめてきたらしいの。
その、ソウリョウジカンってなに?
そうなんだ。だから、ちょっとむずかしいけれど、しっかり聞いてほしいのさ。
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| 瀋陽事件/小野正昭領事移住部長(左から3人目)に事件の経緯を説明する岡崎清総領事(同2人目)=12日午前、中国・瀋陽の日本総領事館で |
ジャン そうね、どんな仕事をしているのか、よくわからないわ。
―外務省の「在外公館」、つまり外国に置かれた日本の役所のひとつよ。外国に対して「日本の顔」の役目をしているの。大使館、総領事館、政府代表部などに分かれていて、ひっくるめて在外公館というの。
ケン 数は多いのかな?
―在外公館は世界に188か所あって、3200人ぐらいが働いている。総領事館は66か所、大使館は116あるわ。
ジャン 大使館と総領事館の役目はどうちがうの。
―大使館は、日本を代表する機関として、各国の首都におかれている。その国の政府との話し合いや連絡を担当しているの。大使館で一番えらいのが大使ね。
ケン その国からすると、大使館は「日本への窓口」ってことだね。
―そう。外国の人が日本で働いたり、長く滞在したりするために必要な「査証(ビザ)」という許可証の発行も仕事ね。日本のことをよく知ってもらうための広報活動もしているのよ。それから、その国の政治や経済、社会の動きなんかの情報を集めて研究もしている。
ジャン じゃあ、総領事館は?
―総領事館は、おもな都市に置かれている。中国には広州、上海、香港と、今回の事件があった瀋陽にあるわ。
ケン 仕事は?
―総領事館は大使館のもとで仕事をするけれど、一番大切な役目は、事故や犯罪、戦争なんかが起きたときに、その国にいる日本人の命や財産を守ることよ。
その総領事館の責任者が総領事で、領事、副領事といった職員がいるの。
ケン ふーん。
―とそのほか、その地域と日本の間の貿易、つまり物の売り買いがうまくいくように、調整役をつとめることも仕事なの。トラブルが起きたとき、相手の国の機関の人と話し合いをするわけ。
ケン 総領事館には中国のおまわりさんたちは入っちゃいけないって、パパがいっていたけど……。
―「治外法権」ということばを聞いたことないかな? かんたんにいうと、大使館や総領事館などの在外公館は、相手の国の法律がおよばない場所、ということなの。
ポン どういうこと?
―たとえば、瀋陽の総領事館は中国にあるけれど、敷地の中は「日本」ってこと。つまり、中国の中にあっても、日本の在外公館の敷地の中では、日本の法律でものごとが進められる。
国どうしで約束をむすんで、在外公館を置いたり、受け入れたりしているわけだから、おたがいの国の権利を大事にしましょう、というわけなの。
ジャン そうか!5人は、北朝鮮や、北朝鮮と仲のいい中国の力がとどかない日本の総領事館にかけこんで、外国へ出してもらうおねがいをしようとしたのかもね。
ケン その人たちを、中国のおまわりさんが、勝手に中に入ってきてつかまえたんだとしたら、大きな問題だね。
―だから「副領事が入っていいといった」「いわない」で両方の政府がもめているのよ。日本と中国がこれからも仲よくおつき合いをしていけるように、きちんと解決してほしいわね。
(2002年5月18日)
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