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社会編;市川 正博(編集部)
うーん。
あれあれ、パパさん。うでなんか組んで、何を考えこんでいるんですか?
子どもたちのおこづかいをへらそうかと……。
えーっ。
うそでしょ。
どうも、給料がこれまでみたいに上がりそうもないんだ。
なんで上がらないの?
よし、きょうはひとつ、パパが説明してみようか。
でも、むずかしそうだから助っ人をおねがいしますよ。
えっ! は、はい。
【労働組合】
働く人たちが、給料や労働時間、休みの日数など、働く条件や環境をよくしようと会社とかけ合うためにつくるグループのこと。
会社にやとわれて働く人たちが、やとう側の経営者と対等な立場で話し合えるように、団体で交渉などをする権利が、憲法で保障されています。
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ジャン;前に勉強したけど、春は給料について話し合う「春闘」があるのよね。
パパ;そう。給料は毎年の春闘で、働く人たちでつくる労働組合=キーワード参照=と会社を経営する社長さんたちが話し合って、どれくらい引き上げられるかを決めているんだ。
ケン;その話し合いで給料が上がらなくなったの?
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| 各社の春闘の結果が書き出されたホワイトボード。ベースアップはゼロで、いまの給料の決まり通りでいく、という意味の「賃金体系維持」の文字がならびました。=東京・八重洲の金属労協で |
パパ;このあいだ、自動車や船、電機製品など、ものをつくる会社(製造業)がいっせいに春闘で答えを出した。製造業の答えは、ほかの業種でどれくらい給料を引き上げるかの目安になることから注目されるんだ。
ジャン;ふーん。それで結果は?
パパ;給料全体を引き上げる「ベースアップ」(ベア)はゼロ、という会社がほとんどだった。上がっても少しだけという会社ばかりで、まったく上がらない会社もある。
ケン;えっ、なんで上がらないの。
パパ;市川記者、バトンタッチ!
―あっ、はい。上がらない理由は、長びく不景気だ。製品が売れないうえに、これまで通り給料を上げていたら赤字になって、会社がつぶれてしまうかもしれない。経営がくるしい会社の中には、給料として出て行くお金を少なくしようと、社員をへらすところもある。
ジャン;それも勉強したわ。「リストラ」でしょ。
―そう。でも、いつまでたっても日本の経済がよくなる見こみが立たないことから、社長さんたちの多くは、リストラだけではたりないと考えているんだ。
ポン;;なんで。
―毎年の春闘で給料を決める、いまのやり方に問題がある、といわれ始めた。日本の会社の多くは、その会社にどれくらい勤めたかの年数や、年齢によって、だんだんと給料が上がっていく。若い人や新しく入社した人より、何十年も勤めた人の方が給料は高くなるしくみだ。
パパ;長く働いてもらうほど、お給料としてはらうお金がふえていく制度そのものを、見直そうという声が出てきているんだ。
ジャン;どんなふうに見直すの。
―それぞれの社員が、どれだけ会社のもうけをふやすために働いたかで給料を決めようという動きが広がりつつある。若くて勤めた年数が少ない人でも、会社がもうかるのに役立つ仕事をしたら、たくさん給料をはらう。ぎゃくに、長く勤めていてもあまり仕事をしないようなら給料を少なくするというものだ。
ケン;なんだかプロ野球やJリーグの選手みたい。
パパ;スポーツ選手のように、その年の成績で次の年の給料を決めていく「年俸制」をとり入れる会社も少しずつふえている。
ポン; ふーん。
―そんな社会の変化から、みんなでいっせいに給料の引き上げをするようなベアは、もう時代に合わなくなっているという人もいる。でも、いまのしくみには、急激に給料がへったりしないので安心して働けるよさがある。年をとり、子どもが大きくなるほどお金がいるという生活事情にも合っている。給料の決め方をかえるかどうかは、もっと話し合いが必要だ。
パパ;三人とも、パパのきびしさがわかっただろう。おこづかいも、どれくらい家のお手つだいをしたか、それぞれの働きによって決めようかな。
三人;えっー。
(2002年3月23日)
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