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国際編;坂尻信義記者(朝日新聞外報部)
いよいよ冬季オリンピックが始まるね。
8日に開幕する。開催地のアメリカ(米国)・ユタ州ソルトレークシティーは、ロッキー山脈をのぞむ静かな街だ=地図参照。
アメリカといえば去年、たいへんなテロがあったけれど。
オリンピック期間中のテロを心配する人もいる。1月にアメリカの通信社が行った世論調査では、アメリカ人のおよそ3人にひとりがテロを心配していた。
多いね。
それだけに会場の警備は、これまでとはくらべものにならないほど大がかりで厳重だ。
ケン;そんなにすごいの?
―費用は総額3億1000万ドル(約400億円)。同じアメリカで1996年に開かれた夏季オリンピック・アトランタ大会の3倍以上の金額。オリンピックの歴史のなかで、もっとも高い額さ。
ポン;へえー。
―冬季より夏季のオリンピックが規模ははるかに大きい。その夏季の3倍。動員される州の兵士や警察官は1万6000人にのぼる。
ジャン;開催地はいま、どんなようす?
―ソルトレークシティーは、「末日聖徒イエス・キリスト教会」(モルモン教)という宗教の本拠地で、ふだんは平和な宗教都市だ。でもいまは、重々しい雰囲気だ。オリンピック広場には金あみが張りめぐらされ、なかでは武器を持った兵士が目を光らせている。上空には武装ヘリもとんでいる。
ケン;まるで戦場だね。
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| 選手村に用意された15人乗りのシャトルバス。大会期間中、選手やコーチの「足」となります。屋根に、どのバスか見分ける番号がしるされ、空からの監視もできるようになっています |
―空からのテロが心配されるため、開会式と閉会式の時間帯は空港を閉鎖。期間中は会場の上空が飛行禁止になる。禁止区域に何かが入ってきたら戦闘機が緊急に発進して撃ち落とす態勢だ。
ポン;すごいなあ。
―競技ごとの会場も警備は厳重だ。たとえばホッケーなど室内競技の会場では、監視カメラが観客ひとりひとりの顔を写し、テロと関係した人かどうかすぐに調べる。
スキーの斜面では夜も、熱に反応するカメラで森を見張る。爆弾をかぎわける警察犬が行き来し、あやしい人は狙撃手がためらわず撃つともいうよ。
ジャン;アメリカでは、なんとか菌っていう細菌を使った事件もあったよね。
―生物兵器に使われる炭疽菌の事件だね。生物兵器を使ったテロも起こるかもしれないと考え、治療薬を大量に用意した。
ケン;これだけのそなえがあれば、だいじょうぶだね。
―大会組織委員会のロムニー会長は開幕まで1か月にせまった先月上旬、記者会見で「期間中は、ここが世界でいちばん安全な場所になる」と自信満々だった。
ポン;すごい。
―でも、日本オリンピック委員会は、治安が十分でないと選手に注意して、テロ対策用のガスマスクを持たせようとした。これに対してロムニー会長が「オリンピックの警備体制を、日本だけがまだうたがっている」と不満をしめしたので、ガスマスクは置いていくことにした。
ジャン;会長の顔色を見て、計画をかえたのね。
―自分たちでテロ対策を考えたのは日本だけではない。オーストラリアは炭疽菌を警戒して選手に郵便物を開けさせないようにするし、ノルウェーは独自のテロ対策担当者をやとった。
それぞれの国が選手の安全を守る人をふやしている。会長だって「100パーセント安全などとはだれもいえない」と話している。日本も選手が心配なら、堂々とガスマスクを持たせてあげればいいんだ。
ケン;そうだよね。
―今回は、長野オリンピックを上回るおよそ80か国・地域から選手と役員合わせて約3600人が参加する予定だ。テロも大きな事故もなく、文字通り「平和の祭典」になればいいね。
(2002年2月2日)
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