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曽我 豪記者(朝日新聞政治部)
この前、3学期のクラス委員を決めたの。でも、いまやっているミホちゃんがもう一回やろうとしたら、男子が「多選禁止だ」って。
おっ、長野県の田中康夫知事が、「知事を何期もつづけてやってはいけないことにしよう」と提案したニュースを見たのかな。
何度も当選して、ずっと知事をするのがいけないってこと?
かんたんに、そうとはいえないな。きょうは、その勉強をしようか。
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| 「何年も知事をつづけるのはよくない」という長野県の田中康夫知事(左上)の考えに、全国の知事の意見がわかれています |
ポン 知事って、どんな仕事をするの。
―知事になったら、みんなのために予算をどう使ったらいいか、どんな施設やサービスを充実させたらいいかなどを提案し、都道府県議員の先頭に立って仕事を進める。
ジャン 知事になるのには何か資格がいるの。
―いらないよ。それぞれの都道府県での知事選挙で当選すればいいんだ。ただ、知事の選挙に出られるのは、法律で「満30歳以上の日本国民」と決まっている。
ケン 何年間つとめるの?
―任期は4年と決められている。でも、次の知事選挙に出て当選、そのまた次の選挙でも当選というふうに、当選を重ねれば、何年もできる。会社とちがって、60歳になったら定年退職、なんていう決まりもない。富山県、大分県、宮崎県の知事は6期目で、20年以上つづけているよ。
ジャン で、田中知事は、どんな提案をしたの?
―知事をつづけられるのは3期、つまり12年までに制限する決まり(条例)をつくろうという案を、県議会に出した。
ポン なんで?
―同じ人が長く知事をしていると、時代などの変化についていけないケースがあるという。たとえば、知事が大きなダムとか道路の計画を立てたとするよね。とちゅうでその計画が必要ないという声が地元で起こっても、なかなか自分で決めた計画はかえられないことが多い。そういうのをふせごうというんだ。
ジャン ふーん。
―それから、同じ人が長く知事をやっていると、知事をサポートする人たちもあまりかわらない。知事やまわりで働く人と、一部の業者と関係が深くなりやすい。道路や橋や公民館など、みんなが使う施設などをつくるとき、たのむ業者は公平に決めないといけない。それなのに、業者からこっそりお金をもらって仕事を回すようなわいろ事件が、起きやすくなる。
じっさい、徳島県の円藤寿穂前知事は、美術館などの工事をめぐる収賄のうたがいで逮捕されてしまった。こうした問題は、同じように市町村にもいえる。
そういう意味でも、「多選はよくない」という声が多くなってきた。
ケン なるほど。じゃあ、みんな賛成なんだろうね。
―知事の間でも、意見がわかれているんだ。千葉県の堂本暁子知事は「アメリカの大統領は3選禁止。それが選挙や政治を元気にする」と賛成してる。
一方、埼玉県の土屋義彦知事は「1期や2期ではきちんとした仕事ができない。10年目にしてやっと芽がでてきた。死んでも埼玉県知事をやる」といって反対している。
「その人を知事にするかどうかえらぶのは県民だ」という意見もある。
ジャン むつかしいねえ。どっちがいいのかな。そういえば、国会議員の人たちはどうなの。
―いい質問だねえ。知事も国会議員も、何度も当選していると、だんだん選挙に強くなり、なかなか落選しなくなるんだ。ぎゃくにいえば新しい人が出て来られなくなる。
だから国会議員の間でも多選禁止に似た話は出ている。とくに立候補に年齢制限を定める「定年制」は、どの党でも話し合っているんだ。
ジャン 会社と同じにするのね。
―でも、じっさいに党の実力者はおじいさんたちが多いから、「わしをやめさせるのか!」とおこって、かならずもめるんだ。
ケン クラス委員の多選問題も、つづけることのいい面、わるい面をじっくり考えて決めないといけないね。
―あらら、結論をいわれちゃった。
(02年12月16日)
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