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星野哲記者(朝日新聞電子電波メディア本部ニュースデスク)
蚊が原因の病気がアメリカで大流行しているって、ママとパパが新聞を見ながら話していたわ。
蚊って、刺されるとかゆ〜い、あの虫?
ああ、「西ナイル熱」のことだね。蚊が運ぶウイルスが原因で次々に患者が出て、亡くなった人も大勢いるんだ。
小さな蚊から病気になるなんてこわい。くわしく教えて。
ポン 毒のある蚊がいるの?
―いや、そうじゃない。ウイルスっていうのは病気の原因になる小さな小さな「つぶ」で、電子顕微鏡でないと見えない。人や動物の体に入ってどんどんふえる点では、バイ菌に似ているね。
毎年冬になるとインフルエンザがはやって学校が休みになったりするよね。あれもウイルスが原因だ。インフルエンザのウイルスは、せきをしたときに空気中をとんで人から人に感染する。
【西ナイルウイルス】
1937年にアフリカ中部・ウガンダの西ナイル近くで見つかりました。
人だけでなく、ほかのほ乳類にも感染することがあります。アフリカから中東、インド西部までの地域に自然分布しているといわれます。
今回のアメリカでの流行の前にも、94年に北アフリカのアルジェリア、96年に東ヨーロッパのルーマニアで流行しています。 |
ジャン だからインフルエンザにならないように、外から帰ったらうがいをして手を洗うのよね。
―そうだね。でも、問題の西ナイル熱の原因となる「西ナイルウイルス」(メモ参照)は、空気ではなくて蚊や鳥が運ぶ。とくにウイルスに感染した蚊にさされると、人にも感染するといわれている。
ケン 感染するとどうなるの?
―多くの場合は何も起きないんだけど、お年よりや体が弱った人の場合、熱が出て、頭や体が痛くなる。ひどいときには「脳炎」という状態で死んでしまうこともある。残念だけど、いまのところ西ナイルウイルスに効く薬はない。
アメリカではことし、わかっているだけで3千人以上の人が感染して約180人もの人が死んでしまった。
ポン 日本は?
―日本では感染したという情報は1件もない。西ナイルウイルスは、まだ日本に上陸していないとみられている。
ジャン じゃあひと安心ね。でも「まだ」ということは、これから日本でも見つかる危険性があるということ?
―西ナイルウイルスはアフリカ生まれで、アメリカにはいなかった。アメリカで初めて患者が見つかったのは一九九九年のことだ。
ウイルスに感染した蚊が飛行機で運ばれたとか、輸入した鳥が感染していたとか、いろいろな説があるけど、はっきりしない。
日本にも蚊はいるし、日本はアメリカをはじめ世界中の国々と、人や物の行き来がある。西ナイルウイルスが日本で見つかるのは時間の問題だという学者もいる。
ジャン 国際化がどんどん進むのはいいけれど、病気まで広がるなんて……。
ケン なんとかふせげないのかなあ。
―日本政府もこの問題に取り組んでいる。空港や港でことしは1万匹以上の蚊をつかまえてウイルスがあるかどうか調べた。
アメリカでは輸血で感染した例もあるので、厚生労働省はアメリカから輸入した血でつくった薬の安全性をたしかめなさいと、薬をつくる会社に指示した。お医者さんたちには、症状や治療法をまとめた資料を配った。
厚生労働省、農林水産省、環境省など5つの役所が協力して上陸をふせぐための対策も話し合っている。
ジャン 日本に上陸してからではおそいのね?
―うん。ニューヨークなどではウイルスを運ぶ蚊を全滅させようと街中に殺虫剤をまいたりもしたけど、全滅なんて無理だ。
もともと世界にはマラリアや黄熱病といった、蚊が運ぶ病気がたくさんあって毎年7億人以上がかかっているといわれている。日本脳炎も、そのひとつだ。
ポン いやだなあ。蚊がこわくなってきた。
―こわがりすぎはよくないよ。健康な体には、西ナイルウイルスも悪さはできない。蚊にさされないようにといって部屋にとじこもっていたら、それこそ病気になってしまうだろ。
ケン そうだね。きょうも外で元気に遊ぼう!
(02年11月5日)
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