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曽我豪記者(朝日新聞政治部)
ねえねえ、「不良債権」ってなんなの?
おっ、むずかしいことばを知ってるねえ。どこで聞いたの。
新聞やテレビで、こんどの新しい内閣の大きな課題は、「不良債権の処理」だといっていたから。
不良? わるいことをするお兄さん、お姉さんのこと?
そうじゃなくて、銀行が貸したのに返してもらえないお金のことだよ。これがふえて銀行の経営をおびやかしている。ほうっておくと、日本経済にも悪い影響をあたえる。きょうは、不良債権について勉強しよう。
ジャン 不良債権って、いつごろからふえ始めたの?
―10年あまり前、日本には、やたら景気のいい「バブル経済」といわれる時代があった。会社は新しい工場を建てたり、社員をふやしたりして、事業を広げるために、どんどんお金を使った。
ケン それで、銀行も、どんどんお金を貸したんだね。
―そう。銀行も、貸したお金は利子がついてもどってくるわけだから、もうけようと思って、会社にお金を貸しまくった。
ジャン なんだか、あぶなっかしいやり方ねえ。
―ただ貸したわけじゃないよ。銀行は、会社がお金を返せなくなったときのために、土地の権利などをあずかった。これを「担保」というんだけれど、お金がもどってこなくなったときに、この土地を売れば、貸したお金が取りもどせる、というわけだ。
ポン バブル経済はつづいたの。
―そうはいかなかった。バブル(あわ)はパチンとはじけて、いまにつづく長い不況の時代が始まった。日本の会社の多くは経営が苦しくなり、倒産もあいついでいる。借金を返すどころじゃなくなった。
ケン いよいよ土地をお金にかえるわけだね。
―それもだめになったんだ。バブルのころにどんどん上がった土地の値段はガタッと落ち、貸したお金につり合うだけの価値なんて、ぜんぜんなくなった。
銀行には、大量の不良債権、つまり、取りかえせる見こみのない、お金を貸した証明書や、価値をなくした土地がのこった。全国の銀行がかかえる不良債権は、約43兆円にものぼるというよ。
ジャン でも、それは、お金を貸した銀行と、借りた会社の問題でしょ。
―そうはいかないんだ。不良債権がふえれば、銀行の経営は苦しくなる。会社がお金を借りようとしても、十分な資金を貸すことができない。そうなると、経済はいつまでたっても、元気を取りもどせない。
ケン 会社の経営が苦しくなって借金が返せない。銀行の不良債権がたまって、会社にお金を貸せなくなる。会社はますます苦しくなって、景気はちっともよくならない…。
―そうした悪循環を断ち切るために、国のお金、つまりみんなのお父さんお母さんがはらった税金をつぎこんででも、銀行を助けなきゃいけないっていう声が、政府の中で強く出てきた。
ケン えっ、借金を、みんなの税金で返そうっていうわけ?
ジャン それで、今回の内閣改造の話になるのね。
―うん。「不良債権の処理に国のお金を使うべきではない」といっていた金融大臣の柳沢伯夫さんをやめさせ、「国のお金を使ってでも不良債権を早くかたづけるべきだ」という竹中平蔵・経済財政大臣に、金融大臣の仕事もまかせた。
ジャン 国民はなっとくできないんじゃない?
―たしかに、貸しまくった銀行には大きな責任がある。これまでに二回、不良債権処理に国のお金が使われたことがあるけど、国民はとてもおこった。
小泉首相がきちんと説明しないなら、国民はそっぽを向くだろう。
ポン ぼくもそう思うよ。
(2001年10月7日)
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