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小学5年生のお母さまとのやりとりで、こんな言葉がありました。「宿題をやれない人間は社会のルールを守れない人間だ」というものです。
決して多くない宿題をやらずに塾へ行く、決して多くない宿題を「やった」と嘘をついて塾に行く。先生たちが一所懸命になって教えてくれて、準備してくれて、期待してくれているのに宿題をやらない。
繰り返し起きる現状に、裏切られた感が満載で、この先どう接すればいいかわからない、という内容でした。
私が気になったのは、宿題をやらないことではありません。「仕事や社会」と「勉強や受験」を同じようにとらえる大人の視点が気になったのです。
今回のやり取りに限らず保護者と面談をしていると、「大人が仕事をするように、子どもは勉強するものだ」といった具合で、「仕事=勉強」という前提で話をする大人がかなりいますが、両者は全く性質の異なるものです。
大人は仕事をしないと生活できない、給料がもらえない、出世できない、余暇に余裕が持てないなど、仕事が「生きること」に直結していますが、子どもにとっての勉強はそういった切迫感や緊急性に乏しいものです。簡単に言えば、子どもは勉強しなくても生きていられる状態にあるわけです。
「仕事と勉強が同じ」というのは論点が大きくズレた、正しい比較ではありません。だからそんな話を持ち出しても勉強をするようにはなりません。宿題をやらないのは、もっと別のところに問題があると考えて話し合わなければなりません。
【プロフィール】
沖山賢吾(おきやま けんご)
1977年東京都八丈島生まれ。東大難関大受験専門永田塾で英語講師・校舎長、リソー教育グループで新規顧客営業を担当。「塾の先生」とは異なる経験から包み隠さず助言がもらえると「コア」なファンが多い。現在は沖山教育研究所を構え、先を見据えた研究・提案を重ねている。
沖山教育研究所FB https://www.facebook.com/okiyamakengo/
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