|
東京ディズニーリゾートや成田国際空港などがある千葉県の人口が昨年、約620万人から数千人ほど減りました。1920年に統計を取り始めてから初の減少です。東京、神奈川、千葉、埼玉の人口はこれまで増え続けてきましたが、いよいよ人口減少の波が東京圏にも及び始めました。人口が減るとどんなことが起こるのでしょう?
 |
| 交通が不便な場所から「過疎化」は進む。JR船橋駅からバスで20分のこのマンションでは、最盛期には8千人近かった住民が、いま3600人という=船橋市緑台1丁目©朝日新聞 |
Q 日本は人口が減るって、以前から言われているよね。なんで千葉県の人口が減るとニュースになるの?
A これまで人口が減っていたのは主に地方だった。東京圏には地方から移り住む人が多く、逆に人口が増えていた。ところが、その東京圏で人口が減り始めた点が一番のニュースだ。
もちろん、東京圏でも将来は人口が減ることは確実とみられていた。ただ、千葉県では2017年までは人口が増えると予測されていたのに、7年も早く人口減少が始まったんだ。東京に近く、人口増加を引っ張っていた浦安市や市川市など東京湾沿いの市と、柏市や松戸市など東葛飾という地区の市の人口変化が、予測以上の早さをもたらした。
Q どういうこと?
A 東日本大震災で浦安市は、土地が液体のようになって建物などに被害が出る液状化が起きた。東葛飾では原発事故の影響で放射線量が高くなった地点が多かった。それで、千葉県外から引っ越してくる人が激減した。
でも、こうした特別な事情がなくても、生まれる子どもの数が少ない一方で高齢者が増える「少子高齢化」のため、同じ千葉県内でも東京から距離のある房総半島南部や東部ではすでに、生まれる子どもよりも亡くなる人のほうが多い「自然減」が始まっていた。これは千葉県に限ったことではなく、東京、神奈川、埼玉でも同じ傾向だ。
東京都の場合だと、この10年間で人口は100万人増えたけど、最近1年間の増加は2万7千人とブレーキがかかり、都内の約4割にあたる25の市区町村で人口が減っている。23区でも7つの区で減少。神奈川と埼玉でも約6割の市町村で人口が減少した。
Q 東京圏って若い人が多いイメージがあるけど。
A 確かに全体数が多いから、繁華街では若い人がたくさんいると感じるけど、人口構成をみると様子が違う。
国立社会保障・人口問題研究所の予測によると、東京では65歳以上が占める割合が05年に18・5%だったが、30年には28・0%になる。日本全体の予測でも30年は31・8%だから、決して東京だけが若いわけではない。
それに14歳以下の年齢でみると、なんと東京では人口に占める割合が11・5%(05年)で、都道府県別では最も低い割合だ。20年までには総人口自体も減り始めることが予測されている。
Q なんだか意外。
A もうひとつ、東京圏には特色がある。国土審議会という国の研究機関の予測によると、高齢者が一人で暮らす世帯数の増加率が、東京圏は全国平均を大きく上回り、50年には05年の200%以上、つまり3倍にまで増える。全国平均だと154%だ。
結婚しない人の割合が全国平均に比べて高いなど、もともと一人暮らしが多いことに高齢化がプラスして、そんな状況になる。
Q 東京圏で人口が減るとどんなことが起こるの?
A 郊外の団地などでは、いま過疎地で起きているような高齢者ばかりが暮らして医療、買い物などがままならないところも出てくるのではないか。一人で暮らす人が多いということは、孤独死とか無縁死などと呼ばれる、だれにもみとられないで亡くなる人が増える恐れもある。
人口が減ることは確実で、高齢化も間違いない。それを前提にして、いかに暮らしやすい社会をつくっていくかが課題だ。
東京圏は人口が集中しているから対象の規模が大きく、医療や介護など新しい事業にチャレンジするのに向いている。
うまくいけば、これから少子高齢化が進むアジア地域のモデルにもなれる。君たちの時代だ。前向きに捉えていろいろなことに挑んでほしい。
(星野 哲・朝日新聞CSR推進部)
2012年1月22日 |