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新型インフル フェーズ6に引き上げ
世界的大流行を宣言するWHOのマーガレット・チャン事務局長=スイスのジュネーブで

 世界中で感染が広がっている新型インフルエンザ。流行の度合いを示す「フェーズ」が11日、6段階あるうちの最高度「フェーズ6」に引き上げられ、世界的大流行が宣言されました。なぜフェーズが引き上げられたのでしょう。フェーズの決定は、どんな組織が、どのように行っているのでしょう?

冬間近の南半球での流行が心配
感染ルート不明 地域ごとに拡大

  なぜフェーズ6に引き上げられたの? 今、世界での広がり具合はどんな状態?
  最近、オーストラリアやチリなど、南半球にも感染が広がっているからだ。オーストラリアの感染者は約2千人(6月17日現在)。南半球はインフルエンザがはやりやすい冬を迎えるから、さらに広がることが心配されている。
 そもそも新型インフルエンザは、北米のメキシコで最初に人に感染して、陸続きの米国やカナダに広がり、旅行や仕事で海外を行き来する人たちを通じて世界中に広がった。その後、海外渡航の経験がない人へも感染した。
 今、メキシコや米国、最近ではオーストラリアでも、もはや、誰から誰にうつったかなど感染源を特定できなくなっていて、「地域=コミュニティー」内で広がっている段階。

WHOが加盟国からの情報を収集し、分析
専門家と相談し、事務局長がフェーズ決定

  フェーズを決めているのはどんな組織なの?

  「世界保健機関」だ。国際連合の専門機関の一つで、世界193カ国が加盟。英語の正式名称World Health Organizationの頭文字を略して、WHOと呼ばれている。世界6カ所(デンマーク、米国、エジプト、コンゴ共和国、インド、フィリピン)に地域事務所がある。医師や技術者、事務の専門家などの職員がいる。本部は、スイスの国際都市ジュネーブにあって、専門的な知識を駆使して各国政府との連絡調整や研究をする毎日だ。

  新型インフルエンザについては、何をしているの?
  加盟国の政府から感染者の数を報告してもらい、集計したり、感染の広がりや病気の特徴を分析して世界中に発表したりしている。中でも重要なのは、「どれくらい流行しているのか」の度合いを示す「フェーズ」(phase〓英語で「段階」の意味)を決め、発表することだ。
  「フェーズ」はどうやって決まるの?
  WHOのトップの事務局長が世界中の専門家を集めて「緊急委員会」を開き、相談した上で決めることになっている。緊急委員会には、日本人の専門家も入っている。メンバーが世界中にいるため、電話で会合を開くこともある。
 全部で6段階あるフェーズの決定は、事務局長に与えられた大きな権限だ。
  そのWHOの事務局長ってどんな人?
  マーガレット・チャンという女性だ。香港で生まれた中国人で、2007年に事務局長になった。香港の衛生行政のトップの経験もあって、その手腕は評価が高い。この人が世界中の記者に向けて記者会見を開くことが多く、すっかり国際ニュースの定番の顔になった。

発展途上国への広がり警戒 薬を優先的に
3年は大流行との見方も 冷静な対応願う

  今後、新型インフルエンザはどうなりそうなの?
  南半球では、オーストラリアでの感染の広がりが目立つが、アフリカや南米などの発展途上国へ広がった時のこともすごく心配されている。病院や医薬品が不足しがちなためで、WHOは途上国へ医薬品を優先的に回すとも説明している。
 WHOのまとめでは、世界の76カ国で3万5928人(6月15日現在)が感染していて、今後も増え続ける見込み。WHOの専門家は、「今後3年ぐらいは大流行の状態が続く」とも述べている。フェーズ6に上げる際、国境の閉鎖が起こるなど、「過剰反応」が心配された。WHOは何度も冷静な対応を呼びかけている。

(前川浩之〓朝日新聞外交・国際グループ)

2009年6月21日


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