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265代目、最小国から世界を訪問
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| 1981年、広島を訪れ核兵器廃絶のアピールをした前法王ヨハネ・パウロ2世 |
ローマ法王ベネディクト16世が今月、アメリカ合衆国を初めて訪問しました。ローマ法王とはいったいどんな人で、なぜ世界の国々を訪れているのでしょうか。
カトリック教徒の精神的指導者
政治的にはバチカン市国の元首
Q ローマ法王ってどんな人?
A 欧米では「パパ」と呼ばれていて、キリスト教の宗派、カトリックの精神的な指導者といわれている。「教皇」とも呼ばれる。イエス・キリストの一番弟子だったペトロが初代の法王、それ以後の法王はペトロの後継者と考えられている。前の法王が亡くなると、高い地位の聖職者の中から新しい法王が選ばれるんだ。2005年に法王に選ばれたベネディクト16世は265代目になる。
Q ふだんはどこにいるの?
A バチカン市国という、世界一小さな国にいるんだ。
Q へー、どこにあるの?
A イタリアの首都ローマの中にある。バチカン市国にはサンピエトロ寺院を中心とする宗教関連施設しかなく、住んでいる人も法王以下の聖職者や法王庁の職員など約八百人だけ。法王はバチカン市国の元首も兼ねているんだ。
Q 聖職者が国を持つなんて、ほかの宗教ではないね。
A いまでこそ東京ディズニーシーよりやや小さい面積しかないけれど、昔の法王はイタリア半島にもっと広い領土と、自前の強力な軍隊を持っていたこともあるんだ。
Q なぜそんな力があったの?
A 聖職者という立場から、ヨーロッパで起きた争いをしずめたりして政治的な役割も果たすようになったんだ。さらに各国の王が貴族や国民に対して自分の正統性を主張するために、法王に身分を認めてもらったり、その見返りに多くの寄進をしたりするようになって、ますます法王の力は強まった。中世の時代にイスラム教徒が支配していた聖地エルサレムを奪回するため、キリスト教国の皇帝や王たちに呼びかけて、何度も十字軍の遠征を実現させたんだ。
Q じゃあ皇帝や王たちより強かったんだ。
A 確かに、キリスト教の規則に反したり、いうことを聞かなかったりした皇帝や王を、たびたび破門にもしたけれど、逆に王に攻められて捕まったりしたこともあった。
過去には大きな力、地位悪用も
衰退経て、近年は平和の使者役
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| バチカン市国のサンピエトロ寺院と広場 |
Q いろいろあったんだね。
A 歴代の法王もいろいろだったのさ。純粋な聖職者として尊敬を集めた人もいれば、教会の権威を高めるために戦争までした人、また自分の財産を増やすために聖職者の地位を売るような人もいた。
Q 宗教指導者がそれじゃ信者はついていけないのでは?
A その通り。同じキリスト教でも、法王が率いるカトリックとは違う、新しい宗派を作る動きなどが出てきた。宗教改革と呼ばれて、ヨーロッパ諸国の歴史や思想に大きな影響を与えたんだよ。
Q 法王はどうなったの?
A 宗教改革もあって、法王の権威は次第に衰えてきた。さらに19世紀のイタリア統一で領土の大半を失って、いまのバチカンだけになったんだ。
Q だいぶ地味になったね。
A ところが1978年に選ばれて05年に亡くなった前法王ヨハネ・パウロ2世の活躍で、法王は平和の使者として大きく見直されたんだ。前法王は在任中に129か国を飛び回り、長い間カトリックが異端としていた他宗教と和解し、第2次世界大戦の体験から国際平和を訴え続けた。真剣な姿勢が世界の指導者から尊敬を集めて平和に貢献し、法王の名声を高めたんだよ。
Q 今月中旬にも法王がアメリカに行ったよね。
A 前法王の志を継いだベネディクト16世も平和の推進に積極的だ。カトリック信者は欧米の先進国を中心に世界中に約11億人いるといわれるので、平和を訴えることは重要だと考えているんだね。訪米は初めてだったけれど、紛争や地球環境、テロの問題についてブッシュ大統領と意見を交わしたようだよ。
(四倉 幹木〓朝日新聞 外交・国際グループ)
2008年4月27日
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