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ロス疑惑 日本で無罪でも米国が逮捕状

三浦元社長、27年前に起きた事件で
03年、日本の最高裁で無罪確定

サイパン地裁に入る三浦和義元社長〓三日、サイパンのススペで

 27年前にアメリカ・ロサンゼルスで自分の妻を殺したとして、日本人の男性が2月、アメリカ自治領サイパン島で逮捕されました。この男性は同じ事件で20年前、日本で殺人罪で起訴され、裁判を受けましたが、2003年、最高裁判所は無罪だと判断しています。なぜ一度無罪になった人が、今度はアメリカで逮捕されることになるのでしょう。また、この先、男性はどうなるのでしょうか。

 サイパン警察に逮捕されたのは、元会社社長の三浦和義容疑者(60)です。1981年、旅先のロサンゼルスで三浦さんの妻が銃で撃たれて死亡しました。事件は日本国内で大きく報じられましたが、その後、三浦さんが多額の保険金を得たことなどが話題になり、「ロス疑惑」などと呼ばれるようになりました。

 保険金目当てで第三者に妻の殺害を依頼したとして、東京地検は88年、三浦さんを殺人罪で起訴しました。ただし三浦さんは自分はやっていないといい、決定的な物証もなく、1審の東京地裁は無期懲役の有罪判決をいい渡したものの、2審の東京高裁は無罪と判断、起訴から15年後の03年、最高裁で無罪が確定しました。

裁判結果、他国では通用しない

 日本やアメリカなどの民主主義の国には「一事不再理の原則」があります。いったん無罪が確定した人について、まったく同じ容疑で再び、逮捕したり起訴したりすることは許されないという大原則です。

 一方で逮捕という形で人の自由をしばったり、裁判をしたりすることは、それぞれの国の主権によるものです。たとえば日本で裁判を受けても、その結果が他国で通用するものではない、という考え方をとることが一般的で、今回のロサンゼルス市警の逮捕もその立場に立っています。

 ロサンゼルス市警が今回使った逮捕状は八八年に執行されたものですが、アメリカには、殺人などの重い罪には時効を設けていない州があり、ロサンゼルスがあるカリフォルニア州もその一つです。また、アメリカ側からみて容疑者が海外にいる期間は時効期間に含まれず、三浦さんが事件以降ほとんど日本で過ごしていたことから、事実上、時効期間は進んでいないとも考えられます。

サイパンでは移送するか審理

 サイパンの裁判所では何を話し合っているのでしょうか。今回、サイパンの警察はロサンゼルス市警に頼まれて三浦さんを逮捕しました。ただ、頼まれたとはいえ、独立した司法制度をもつアメリカ自治領としては、容疑者が本当に逮捕状にある本人かどうかや、容疑そのものがまったく的はずれなものではないか、などを確認する必要があり、そうした点についてサイパンの地方裁判所で審理します。

 サイパンの地裁が移送していいと判断すれば、三浦さんはロス市警に送られ、現地の検察が起訴する可能性があります。その場合は、カリフォルニア州裁判所で三浦さんが有罪か無罪かを判断するための公判を受けることになるでしょう。

 

(井田香奈子記者〓朝日新聞 外交・国際グループ)

2008年3月30日


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