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薬害C型肝炎訴訟 和解が成立
基本合意を受け、福田首相(右端)との面談に臨む全国原告団=1月15日、首相官邸で

国が責任を認め、謝罪して救済

 薬によってC型肝炎という病気になった被害者たちと薬を認可した国(政府)の間で和解が成立しました。国が責任を認めて謝り、全員に症状に応じて4000万から1200万円の給付金を払う内容です。これで、最初に裁判に持ち込まれてから五年余りで問題がいちおう解決しました。しかし、血友病患者や予防接種で肝炎にされた人は対象外。医薬品行政への不安も、消えたとは、まだいえません。

 「薬害C型肝炎訴訟」と呼ばれる問題です。出産や手術の時に出血を止めるための薬を与えられた人が重い肝臓病にかかることが1960年代ごろから全国で発生したようです。「フィブリノゲン」などの止血剤が原因らしいとわかり、米国では七七年にフィブリノゲン製剤の承認が取り消されました。日本では使われ続け、集団感染などで患者が増え、患者は国と製薬会社を相手に裁判に訴えました。最終的に全国5か所の裁判所で200人余りが争っていました。

「一律に給付金」払う方針転換

 この訴訟では、責任と賠償のほか、実際に薬を与えたかどうかが問題に。国と企業はこれを否定。ところが、医療機関の薬剤投与リストが見つかったばかりか、厚生労働省の倉庫からも資料が発見されました。世論の批判が高まり、裁判所は和解を勧めました。

 患者側(全国原告団)は投与時期や裁判を起こしたかどうかに関係なく「全員一律の救済」を求め、しぶる国側と話し合いを続けました。批判はおさまらず、世論調査の内閣支持率は急落。国は一律救済に応じる方針に転換したのです。国会では国に責任があることを明記した救済特別措置法ができました。

 こうして、全国原告団と国が結んだ和解の基本合意書では、被害を防げなかったことを国が謝罪。国は薬害の再発防止に最大の努力をするといいます。薬を患者が与えられたかどうかの証明にあたっては、医療記録・カルテなどによるが、むやみに否定されないように「一律救済の理念を尊重する」との約束も加えられました。

 さらに、国は薬を与えられた人の確認や検査を呼びかけることも約束し、1月中旬には新聞を通じて「検査をお受けください」というチラシを配りました。福田首相は患者代表と会って「行政の代表として、おわびを申し上げたい」と、改めて謝りました。

血友病、予防接種除外に反発も

 今回の救済は、出産や手術の止血剤として「フィブリノゲン」などを与えられた患者に対して行われるので、これ以外の患者は除外されます。血友病の治療でC型肝炎に感染した患者や、予防接種でB型肝炎にかかった人からは「法律が差別していいのか」と反発が出ました。治療費がかさんで、実情は切実です。

 再発防止の面では、患者のリスト・資料が放置されていた点を調べた厚生労働省の特別チームが「国の責任は問えない」との結論を出しました。実際にどう「防止」するのか、具体策もはっきりしません。新薬の承認基準を厳しくすることや、医薬品の副作用を医師が患者に知らせる制度をつくるかどうかの問題で、「今でも海外より遅い審査にもっと時間がかかる」「医師が副作用を報告しないのでは」といった意見も厚労省内に強いようです。

 今回の教訓を生かすのには、まだ課題がいっぱいあります。

(高橋 俊一・ジャーナリスト)

2008年1月27日


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