こどもアサヒ > ニュースドンとこい! > ニュースドンとこい!過去一覧

世界同時株安はなぜ起きたの

米国のサブプライムローン(低所得者向け住宅ローン)が震源
返済滞り金融機関損失、不安が連鎖

ローンが払えず、住民が立ちのいた家=3月、米国・ミネアポリス市郊外で

 世界各国の株式市場が混乱しています。8月に起きた急な値下がりは、「世界同時株安」ともいわれました。でも、日本の景気は悪くないとされるのに、どうして日本の株価まで下がったのでしょうか。実はいま、世界のどこかで何か問題が起きると、世界各国の経済が影響を受けるしくみになっているのです。

 今回の世界株安の震源地は、米国でした。「サブプライムローン」という言葉が、新聞やテレビをにぎわせています。これが株安の原因を作ったのです。

 サブプライムローンとは、低所得者やクレジットカードの返済が滞りがちな人でもお金を借りられる住宅ローンのことです。日本では普通、クレジットカードで買い物をして、銀行に預金残高がなくて支払いができないことが続くと、新たに借金するのが難しくなります。ところが、米国では過去に返済が遅れたことがある人や貯金のない貧困層でも、高い金利を払えばお金を借りて家を買うことができたのです。これがサブプライムローンのしくみなのです。

 米国では住宅ブームだった2004年ごろから住宅価格が高騰し、金利も上がったことから通常の住宅融資が伸びなくなり、金融機関が融資の対象を低所得層にまで広げたのでした。

 「審査がずさんだった」という声もよく聞きます。マイホームがほしい市民は、自分にお金を貸してくれる金融機関があることを喜び、借金しました。しかし、ローンの多くは、最初の2年は金利が年数%と安いが、3年目以降は年10%前後の高金利になるしくみでした。収入が伸びない人や失業者らは返済が滞る、住宅ローンが焦げついて資金ぐりの悪化した金融機関が破たんする、景気後退の不安が増す――こうした悪循環が株安の第一の原因だったのです。

日欧の金融機関も間接的投資
リスクを共有、混乱は世界中に

 では、なぜ欧州や日本にまで株安が飛び火したのでしょうか。8月17日には、日経平均株価も前日より874円81銭も急落しました。株式市場全体の約5%の資産が1日で吹っ飛んだことになります。

 サブプライムローンには、日本や欧州の金融機関も間接的にお金を出していたのです。しくみはこうです。直接お金を貸していた米国の金融機関だけがリスク(危険性)を抱えるのは大変です。そこで、サブプライムローンとは別のローン債権(お金を返してもらえる権利)と組み合わせた金融商品をつくり、海外の金融機関などに転売しました。これを「証券化」といいます。世界の投資家がリスクを少しずつ共有していたのです。

 今回の一件は、品質の怪しいミカン(サブプライムローン)と新鮮なブドウやリンゴ(別の債権)を箱づめにして売り、ミカンが腐り始めたとき、様々な果物をつめこんだため一体どの箱が怪しいのか分からなくなり、あらゆる果物箱(金融商品)が値崩れするようなものです。

 こうして、資金を出していたフランスなど欧州の金融機関も混乱し、株安が世界中に広がっていきました。そもそも、現在の経済は金やモノが自由に行き来するグローバル化の時代。一つの地域の経済情勢悪化がほかの地域に容易に影響することも、背景にありました。

 株安は、落ち着きを取り戻しつつあります。米国政府も、住宅ローンの借り手を救済する対策を発表しました。ただ、金融機関がどれだけ損失を抱えているのかわからないため、先行きは不透明だといわれています。

(奥寺 淳記者・朝日新聞金融産業グループ)

2007年9月9日


朝日学生新聞社のホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。
すべての著作権は朝日学生新聞社に帰属します