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「五輪でアピール」の中国に課題

北京オリンピックまであと1年
食品の安全性の問題で不信感

エスカレーターで右側に並ぶ人たち。五輪に向けマナー向上を呼びかける「列に並ぼうデー」です=北京市で

 2008年8月8日に予定されている北京オリンピックの開幕まで、1年を切りました。北京市や周辺都市では、競技場の建設が進められています。
 テレビでは、毎日のように五輪関連の番組やCMが流れ、郊外の「万里の長城」の近くにも大きな歓迎の看板が立っています。海外からの観光客を意識して、「行列を守ろう」などの市民のマナー向上のキャンペーンも盛んです。
 五輪のスローガンは「同一個世界、同一個夢想」(一つの世界、一つの夢)。先進国入りをめざす中国政府にとって、五輪開催は悲願でした。中国政府は何としても成功させ、世界に急速な発展ぶりをアピールしようとしています。
 しかし、中国は今、食品や製品の安全性、著作権侵害、人権問題、環境問題などたくさんの分野で、悪い意味で注目を集めています。このままでは、五輪開催で、かえってイメージダウンにつながりかねません。

 課題@食品、製品の安全性
 歯磨き粉、おもちゃ、ウナギ……。最近、中国産の食品や製品に、使用が禁止された薬品や化学物質が使われていた例が相次いで見つかりました。
 今年七月、北京テレビが放送した「段ボール入り肉まん」は、直後に北京市当局が全くのウソのニュースだと発表しました。しかし、中国製品の安全性への信頼が揺らいでいた時期だったので、日本でも大きな話題となりました。
 問題の背景には、経済発展によって増える食品や製品の生産に対して、公的な安全性の点検制度が追いついていない現状があるようです。また、これは中国だけに限りませんが、「とにかくお金を稼ごう」という考え方が、ルール違反を引き起こしている一面もあると思います。

著作権侵害や環境、人権問題
どう取り組むか世界が注目

 課題A映画や本の海賊版
 今年五月中旬、公開されたばかりのアメリカ・ハリウッド映画「スパイダーマン3」のDVDが、北京の街角で1枚6元(約96円)で売られていました。もちろん海賊版で、映画館で隠し撮りしたようです。日本のドラマの海賊版DVDもたくさん売られています。
 各国は知的財産権を保護するよう求め、中国政府も取り締まりを強化しました。しかし、たとえばアメリカのハリウッド映画の正規版は30元(約480円)。都市の平均月収が約1000元(約1万6000円)なので、海賊版を買う人は後を絶ちません。

 課題B環境、人権問題
 自動車の増加で、北京市内の渋滞は年々ひどくなっています。排ガスに含まれる汚染物質の量は、東京の3倍という調査結果もあります。
 さらに、ジャーナリストや民主化運動家に対する当局の人権侵害も長い間指摘され続けています。五輪にあわせ、中国政府は外国メディアの取材規制をゆるめる方針ですが、今でも取材妨害はなくなっていません。
 来年の開幕まで、世界の中国への注目度はさらに高まります。中国政府も、それを十分意識しており、すでに薬品や食品の安全対策に乗り出しました。しかし、ほかにも課題はたくさんあります。五輪が国際社会への良いアピールの機会になるかどうかは、競技が順調に行われるかだけではなく、ほかの課題への取り組み方にもかかっていると思います。

(久土地 亮記者・朝日新聞外報グループ)

2007年8月12日


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