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パキスタン立てこもり事件後も自爆テロ

強行突入した大統領への抗議か
神学校指導者に過激派との交流

神学校の一室で、武装学生らが持っていたという武器、ガスマスクなどが公開されました=イスラマバードのラール・マスジードで

  パキスタンの首都イスラマバードで、武装した学生が立てこもったイスラム教の施設「ラール・マスジード」に軍隊が突入しました。軍は銃撃戦のすえに施設を制圧しましたが、学生と軍の兵士を合わせて80人以上が犠牲になりました。この後、パキスタンでは自爆テロが毎日のように起こり、大勢の人が亡くなっています。

 施設は、イスラム教を専門とする神学校と、礼拝の場所であるモスクからなっていました。ラール・マスジードとは、地元の言葉で「赤いモスク」という意味です。神学校では、10代から30代の数千人が寝泊まりしながら勉強していました。

 学生たちは今年の初めから、「イスラムの教えに反している」として、米国製のビデオを売る店で商品を持ち去ったり、中国人を監禁したりしていました。立てこもりを始めたのは今月3日です。学生がパトロール中の警察官を襲い、施設に陣取りました。軍が周りを取り囲みましたが、一部の学生たちが降参しなかったため、10日の突入が決まったのです。

 人口の95%以上がイスラム教徒のパキスタンでは、1万を超える民間の神学校で150万人以上が学んでいます。貧しい人々に服や食べ物を提供して地元で人気がある神学校ですが、なかにはイスラムの教えを極端に解釈して暴力事件を起こすところがあります。ラール・マスジードもこうした施設の1つでした。施設のリーダーだった兄弟は、過激派のグループ「タリバーン」と交流しているといわれていました。

隣国タリバーンの影響強まる
「外国にいい顔」強権に不満も

  かつてタリバーンは隣のアフガニスタンを支配していましたが、2001年の米国同時多発テロを起こした過激派「アルカイダ」のメンバーをかくまっているとして、米国や英国に攻撃されて権力を奪われました。しかし、去年から勢いを取り戻し、アフガニスタンで今月18日にドイツの、19日には韓国の民間人を拉致したように、テロ活動を激化させています。パキスタンの学生がタリバーンで軍事訓練を受けるなど、周りの国にも影響が出ています。

 「施設はイスラム教のイメージを悪くした。攻撃はしょうがなかった」。軍による突入を選んだムシャラフ大統領に賛成する人もいます。しかし、反対の意見もあります。パキスタンは米国や中国から支援を受けていますが、米国はタリバーンやアルカイダを厳しく取り締まり、中国人はパキスタンでたびたび過激派に襲われています。「イスラムの神聖な場所を守るより、ほかの国からの援助を優先している」「話し合いで解決するべきだった」といわれました。

 また、軍隊のトップも兼ねて権力を独占しているムシャラフ大統領に、もともと批判があったのも事実です。今年5月には大統領に反対する人と応援する人が銃を撃ち合い、40人ほどが亡くなりました。軍の突入は、そういった不満や混乱はそのままにして「テロに強い大統領」をアピールしようとしたと指摘されています。

 ムシャラフ大統領は、秋の選挙で当選して大統領を続けようとしていますが、立てこもり事件の後に相次いでいる自爆テロは、大統領に抗議する人たちが起こしていると考えられています。パキスタンの治安が良くなるには、まだ時間がかかりそうです。(広島 敦史記者・朝日新聞外報グループ)

2007年7月29日


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