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消えた年金救済へ認定基準

幅広く認めていく基本方針
「確からしい」と判断できれば

年金記録の照会に訪れた夫婦=京都西社会保険事務所で

 公的年金の記録が消えている人をどう助けるかについて、「これなら年金を受けとれます」という認定基準がまとまりました。保険料を払った記録がない場合でも、本人の言い分が「不合理でなく、一応確からしいこと」を給付判断の基本方針とします。預貯金口座や健康保険、家計簿の記録のほか、雇い主の証言なども参考に、幅広く認めることになりそう。ただ、こうした救済を優先して、保険料を実際には払っていないのに年金を受けとろうとする「ただ乗り」の防止策が後回しにされるのではないか、といった問題は未解決です。

 年金は、保険料を納めると、金額や期間に応じて年をとってからお金を受けとる制度です。問題は、その記録が消えてしまった人たちについて、納めたことを何で証明し、年金支給を認めるか。

 この認定基準について、総務省は学者や弁護士らを集めて「年金記録確認中央第三者委員会」という長い名前の機関を設けて、検討してきました。ここで決まった基本方針は、記録が消えた原因を「社会保険庁の管理」のせいだと考えたうえで、まじめに保険料を納めてきた人たちの権利を実現させることをめざすといいます。

預金口座や家計簿も証拠に
「ただ乗り」防ぐ対策は未定

  全国民を対象にする国民年金の場合、保険料を納めたことを間接的に示す「関連資料」として、預貯金口座からの引き落とし記録、確定申告書の控えなど税関係の資料、家計簿の記述があげられています。証拠とまではいきませんが、判断を助ける「周辺事情」としては、@記録が消えた回数が少ないA消えた期間が短く、その他の期間は納めているBいっしょに住む家族は納めている――といったことが例示されました。

 夫が保険料を全額納めているのに、妻が3か月間だけ納めていないと扱われているケースなどが、救済されそうです。

 サラリーマンが入る厚生年金では、給料の明細書や会社の賃金台帳で確認できること、健康保険や雇用保険の記録などが「関連資料」となります。「周辺事情」は、雇い主の証言や同僚が同じ時期に加入していることなど。ただ、保険料の半分を納めるはずの会社が実は納めていなかったというケースも考えられ、これについては判断を留保しました。

 「私たちは性善説に立っている」と、第三者委員会の委員長は説明しています。性善説とは、人間の心は本来善良だとの見方です。だから、うそやごまかしはないはずだと考えて、基本方針を決めたと言うのです。資料や証言がなくても、「本人の人柄や態度を見て、総合的に判断する」とまで、委員長は話しました。考えられる限りの救済策を盛った形です。それだけ、年金が大問題になり、国民の不信解消を急ぐ必要が政府にあるということのようです。

 より多くの人の訴えを認めようとすれば、うそやごまかしがまかり通る余地も増えます。夫婦の一方だけが保険料を納めている場合もありうるのに、うその申し立てによる「ただ乗り」をどうやって防ぐかといった対策までは、基本方針は踏み込んでいません。「なんでも認めてしまえば、国民の不公平感が高まりかねない」との指摘が早くもあがっています。

(高橋 俊一・ジャーナリスト)

2007年7月22日


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