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南北を分ける軍事境界線近くで、北朝鮮・開城に向かう南北連結鉄道を見守る韓国の市民たち=5月17日
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朝鮮戦争で分断の歴史
首脳会談きっかけに連結約束
朝鮮半島には、北側に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、南側に大韓民国(韓国)という2つの国があります。どちらも同じ民族で言葉や伝統文化を同じくしていますが、政治体制が全く違います。
北朝鮮は、金正日総書記を唯一の指導者とする独特の社会主義体制、韓国は日本のように、民主主義のもとで資本主義が発達しています。
南北は1950年から3年間、朝鮮戦争を戦い、多くの人が亡くなりました。休戦後も対立し、南北の軍事境界線付近では武力衝突も起きています。
そんな緊張関係をちょっとほぐすような出来事が5月17日にありました。南北をつなぐ鉄道は、朝鮮戦争で行き来ができなくなりましたが、この日、56年ぶりに列車が走ったのです。日本海側の東海線(金剛山〜猪津)と黄海側の京義線(ムン山〜開城)で、いずれも25キロ余りです。
試運転の列車には、南北の政府関係者らが乗り、往復しました。韓国側の駅のホームでは、南でも北でもない朝鮮半島全体が描かれた旗を手に、南北の統一を願う人々が歓迎しました。
2000年6月に、北朝鮮との関係をよくすることに熱心だった韓国の金大中大統領(当時)が北朝鮮の平壌を初めて訪れ、金正日総書記と会談しました。これをきっかけに、南北の政府は鉄道連結を約束しました。境界近くに埋められていた地雷を取り除き、線路はつながれました。
「欧州まで」夢の実現いつ?
本格的運行のめどは立たず
韓国政府の関係者は、南北の鉄道を、中国やロシア、そしてヨーロッパの鉄道につなげるという夢を語っています。また、朝鮮戦争の混乱で南北に離ればなれになっている離散家族の人たちは、鉄道に乗って親や兄弟に会いに行けないかと期待しています。
でも、鉄道はこの日だけの試運転で、本格的な運行のめどは立っていません。北朝鮮の軍は、今回1回だけ列車運行の安全を保障しました。
食糧が不足し外国に輸出する品物もあまりない北朝鮮は、経済が豊かで自由な空気にあふれる韓国から、すぐれた製品や情報が入ってくると、自分たちの政治体制がつぶれてしまうことをおそれています。また、北朝鮮では、鉄道の施設が古くなり電力も不足していて、列車の運行に支障があるとみられています。
ところで、朝鮮半島は20世紀初めから第2次世界大戦が終わるまで、日本が支配していました。当時、つくられた鉄道の路線は、今も重要な役割を果たしています。
日本人のなかには「朝鮮に鉄道や道路、港をつくってあげたのは日本だ」と今でも自慢げに言う人がいます。でも、人々や物資を運ぶ鉄道は、何よりも当時の日本が植民地をうまく経営するために必要だったのであって、朝鮮の人の利益をまず考えて建設したのではありません。
(桜井 泉記者・朝日新聞外報グループ)
2007年6月3日
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