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サルコジ前内務相が就任
フランスの新大統領ってどんな人?

亡命貴族の家系で野心と能力 
競争重視、格差広がる不安も

 新しいフランス大統領に16日、内務相だったニコラ・サルコジ氏(52)が就任しました。大統領がかわるのは、任期満了で退任したシラク前大統領(74)が就任して以来12年ぶり。欧州の大国がどう変化するのかが注目されています。

 新大統領の経歴は異色です。父はハンガリーの貴族の家系。サルコジ氏自身は亡命先のパリで生まれましたが、幼い頃はフランスらしくない名字によそ者の気分を味わったそうです。

 政治家としても最初は脇役でした。中学、高校の成績はかんばしくなく、フランスのエリートの登竜門である国立行政学院(ENA)で学んでいません。

 全国的な名声をつかんだのはある事件がきっかけでした。28歳でパリ近くの市長に当選し、就任10年後に市内の幼稚園で起こった人質事件を犯人との直接交渉で解決したのです。

 早くから大統領になる野心を隠そうとしませんでした。ただその能力は誰もが一目置くところで、はっきりした意志と行動力が人気の源でもあります。

 大統領選で掲げた経済政策の公約には、そんな自分自身の成功体験が背景にあるのかもしれません。スローガンは「もっと働き、もっと稼ごう」でした。1人で受け持つ労働を減らして仕事を分け合おうという目的で導入された「週35時間労働」を見直すことを約束しました。ほかにも企業が社員を解雇する条件をゆるめるなどして、労働の競争性を高めることをめざしています。

 大統領選では初の女性大統領をめざしたセゴレーヌ・ロワイヤル氏(53)が平等重視を打ち出して鋭く対立しましたが、サルコジ氏の競争重視が選ばれた形になりました。

 サルコジ氏は移民や治安での強硬姿勢でも知られています。社会的に弱い立場の人の中には格差が広がることへの不安があります。サルコジ氏の当選が決まった後、フランス各地で若者らが暴動を起こしました。「すべてのフランス人の大統領になる」と宣言したサルコジ氏が、どう国内をまとめていくのか手腕の見せどころです。

親米姿勢、欧州統合に新時代
 外交面ではほとんど実績がありません。米国流の競争重視とあいまって、親米姿勢が注目されています。昨秋には、フランスがイラク戦争に反対したことを傲慢と非難しました。当選直後には温暖化政策で米国の消極的な姿勢を批判して「もの申すフランス」の面も強調しましたが、前政権で冷えている仏米関係は改善に向かいそうです。

 欧州統合は新展開がありそうです。2005年、フランスは欧州連合(EU)憲法条約の批准を国民投票で否決し、統合の流れに痛手を加えました。サルコジ氏はEU憲法を簡単な「ミニ条約」に仕立て直して議会の批准で事足りるようにすると公約しています。ただ、結論の出ていないトルコ加盟には強く反対していて、フランスが再びかつてのような統合の推進役を担うかは微妙です。

 シラク前大統領は有名な親日家でした。しかし、サルコジ氏はアジアでは中国を重視する姿勢のようです。安倍首相(52)は日本式で言えば同学年になります。2人とも第2次世界大戦後に生まれた初めての仏大統領、日本首相です。新時代の日仏関係がどうつくられるのか見守りたいものです。

(村上 研志記者・朝日新聞外報グループ)

2007年5月20日


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