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原発の事故隠しが次々と発覚

ブレーキ役の制御棒が脱落
検査中のミスで「臨界」状態

志賀原発の事故のしくみ

 原子炉のブレーキ役をはたす制御棒がぬけ落ちる事故が、各地の原子力発電所で起きていました。電力会社が事故を公表していなかったこともわかり、批判が強まっています。どれも原子炉で水をわかして、蒸気で発電用タービンを回す沸騰水型と呼ぶタイプで、定期検査やその準備中の操作ミスが原因のようです。経済産業省の原子力安全・保安院は、一部原発の運転ストップを指示しました。

 事故隠しが最初にわかったのは、石川県にある北陸電力志賀原発の1号機。1999年の検査中に制御棒89本のうち3本が下にぬけ、60a〜1.5b下がったところで、核分裂が続いて熱や放射線が出る「臨界」状態になってしまいました。原子炉が想定外のときに運転を始めたわけです。

 警報が鳴りましたが、安全装置がきちんと動かず、制御棒は戻りませんでした。作業員らが手動で操作するなどして制御棒を元に戻すまでに約15分かかりました。
 制御棒は普通、長さ4、5b、幅20〜30aの板2枚を十字に組み合わせたような形。核分裂に必要な中性子を吸収しやすい物質で作られていて、原子炉の出力をコントロール(制御)し、停止させることもあります。原発はきちんと制御していないと、放射能漏れなどの大事故につながる恐れもあります。

 この時は作業員が放射能をかぶるなどの被害はありませんでしたが、北陸電力は国に報告せず、日誌などにも記録していませんでした。

各電力会社が公表せず批判
経産省が報告義務を強化へ

 この事実がその後の総点検で浮上したのに続いて、ほかの電力会社の原発でも78年から2000年にかけて、検査中に制御棒が脱落したことがわかりました。

 福島県の福島第一(東京電力)、宮城県の女川(東北電力)、静岡県の浜岡(中部電力)、さらに福島第二と新潟県の柏崎刈羽(どちらも東京電力)などの各原発。どれも沸騰水型の原子炉で、ほとんどは「臨界」まではいきませんでしたが、福島第一は「臨界」事故の疑いがあります。原因について原子力安全・保安院は、操作ミスにより制御棒の歯止めが引きぬかれたらしいとみて、調べを進めています。

 他の電力会社が事故を知らされないために、防止策や注意を強めることを特にせず、似たようなミスを重ねてしまったのではないかとも指摘されています。事故が公表されなかったので、情報がそれぞれの会社内だけに限られてしまい、経験や教訓として他の会社や原発の対策に生かされなかったという問題も、今回明らかになりました。

 国内の原発事故では、九九年に茨城県東海村の民間施設JCOで燃料加工中に臨界事故が起き、放射能を浴びた作業員二人が死亡しました。

 どの原発でも核燃料物質の管理や制御に万全の注意が必要ですが、ひやりとするような事故が複数の原発で続きました。経済産業省は制御棒などに関する報告義務を強化する方針を固めています。

(高橋 俊一・ジャーナリスト)

2007年4月1日


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