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日銀はどうして利上げしたの

短期金利を0・5%に
企業好調、消費も上昇と判断

 お金を貸し借りするときの金利が上がりそうです。金融の番人といわれる日本銀行が、政策目標の短期金利を年0.25%前後から0.5%前後に引き上げたのです。「景気が良くなって、個人の消費も増えてきた」と日銀が判断し、外国との金利差や円安の行き過ぎを防ぐために決めました。これにリードされる形で、普通預金などの金利が上がり、一方では住宅ローンなどを借りる場合の金利も上がる可能性が高まっています。
 この短期金利は「無担保コール翌日物」といい、銀行など金融機関同士が担保という保証なしでお金を借りて翌日に返す取引の利率のこと。日銀が基準を決めて、そちらへ誘導する政策の対象にしています。これが全体の金利水準を示す代表格に使われていて、上げる・下げるで普通の預金やローンの利率にまで響きます。
 一般に、景気が悪いときは、金利を低くして企業が資金を借りて事業をやりやすくし、景気が良くなると、金利を上げて、物価が上がりすぎるのを抑えます。バブル崩壊後の不景気で、日銀はゼロ金利政策をとってきました。2006年7月にそれを解除し、目標を年0.25%にしました。
 今回、日銀がさらに利上げした理由は@米国経済の先行き不安が和らいだA企業収益は好調で、設備への投資も増えているB個人の買い物・消費は緩やかに増える傾向にあるC物価は長い目で見れば上がる方向だ、など。金利の高い米国やヨーロッパに資金が流れて、円安が進むのを防ぎたいといった面もうかがえます。

銀行は預金金利引き上げへ
住宅ローンも上がる可能性

 こうした日銀の金利引き上げについては、「景気が後退するのでは」との批判が政府・与党内にありました。1月には、日銀内にも慎重な意見が多くて、見送られていました。今回は政策委員9人のうち、利上げ賛成は福井総裁をふくめ八人で、副総裁の一人が反対しました。それだけ、政策金利が景気や物価にどう響くかは微妙な問題なのです。
 このほか、4月に統一地方選挙、7月に参議院議員選挙が予定されているので、「政治への影響を与えないために、今しかない」との考えがあったのではないかともいわれています。
 日銀の利上げで、各銀行は、多くが普通預金の金利を0.1%から0.2%(一部は0.2%から0.25%)に引き上げると発表しました。ほかの預金や国債の金利も上がるかもしれません。住宅などのローン金利も上がる可能性は高く、借りている人や企業には響きます。大企業は「影響は小さい」との楽観論が多いそうですが、中小企業には「新しい投資ができないのでは」との不安や抵抗感が強いといいます。
 個人の生活はどうか。おかれた立場でさまざまですが、「預金金利が上がるといっても1人ひとりにとってはわずかなのに、住宅ローンなどの負担感は大きい」といった受けとめ方もあるようです。円安問題にしても、これぐらいでは解決しないだろうとの観測もあります。
 日銀は「きわめて低い金利水準をこれからも維持し、調整は徐々にやっていく」と説明していますけれど、金利引き上げへの評価は分かれています。

(高橋 俊一・ジャーナリスト)

2007年3月4日


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