|
|
 |
|
左上:就職支援団体を訪ねる、「白い手」と呼ばれる無職者の若者たち=韓国・ソウルで
右上から最有力の李明博さん、右中:李会昌・元ハ
ンナラ党総裁、右下:与党系の鄭東泳・元統一相
|
3氏が有力 19日に国民が投票
現政権の不人気で与党は劣勢
韓国は今、12月19日の大統領選挙が迫り、冬の寒さの中で選挙戦が続いています。人々の関心が高いのは、不動産の急な値上がりや就職難といった経済問題。うまく手が打てなかった盧武鉉大統領の不人気もあって、批判勢力が政権を奪う勢いですが、過去の選挙結果をみても、どう転ぶかは最後の最後までわかりません。
韓国の大統領選挙は5年に1回です。国会議員の投票で首相を決める日本とちがい、大統領を誰にするかは国民が直接、1票を投じて決めます。同じ人が2回大統領にはなれません。
今回の選挙にはこれまでで最多の12人が立候補しました。うち有力なのは、盧武鉉大統領の政策を批判してきた野党ハンナラ党の李明博さん、同じハンナラ党の元総裁で今は党を離れた李会昌さん、盧武鉉政権の流れを受け継ぐ与党系の大統合民主新党の鄭東泳さん、の3人です。
李明博さんは大手建設会社の元社長でソウルの前市長です。市長時代は中心部の高架道路を撤去して川を復元するなど、思い切った政策を進めました。経済立て直しへの手腕に期待を集め、優勢だといわれています。過去に不正なお金もうけに関与した疑惑が指摘されましたが、それもほぼ解消されました。
李会昌さんは、過去の引退宣言を撤回して立候補を表明しました。ソウル大学在学中に司法試験に合格、若くして最高裁判所の判事も務めました。過去2回の大統領選にも出ましたが、いずれも本命といわれながら、兵役義務を息子が逃れた疑惑などがひびき、ほんの少しの差で落選しています。
鄭東泳さんはテレビ局の元ニュースキャスターで、盧武鉉政権下では、旧与党の開かれたウリ党の党首や閣僚も務めました。ただその後大統領と対立し、ウリ党を壊して新党を結成。与党系候補として立候補しました。庶民重視の姿勢を強調していますが、現政権の不人気が逆風になっています。
貧富の格差などに高まる不満
日本と似た課題を多く抱える
各候補者とも、選挙でどれだけ票をとれるかを左右するのは経済政策の具体的な中身だと計算して、国民の所得や雇用を増やす取り組みなどをくり返し訴えています。
10年前の経済危機をきっかけに、韓国は思い切った改革を進めましたが、それは、いわば副作用も大きいものでした。現政権下でも状況は好転せず、最近はアパートや土地といった不動産の値段が急に大きく上がって大もうけする人も出る一方で、そうでない一般の庶民の暮らしは苦しくなってきています。
大学や短大を卒業しても、なかなか就職できない若者や、パートなど不安定な雇用で働く人も増えています。いわゆる「勝ち組」「負け組」の問題で、国民の不満や将来への不安が高まっているのです。核兵器の開発問題を抱える北朝鮮とどうつきあっていくか、高齢化が進む中で福祉をどう充実させていくかなど、韓国の抱える重要な課題は数多くあります。その中で国民の多くはまず、次の大統領に経済の立て直しを切実に期待しています。
貧富の格差の拡大といった韓国社会の課題は、日本と似ている点がたくさんあります。日本ともますます交流が深まるお隣の国の大統領選挙を、そういう視点で見てみると、興味が一層深まるかもしれません。
(稲田清英記者〓朝日新聞 外交・国際グループ)
2007年12月16日
|