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汚職どこまで? 「防衛利権」が大問題に
自宅を出る守屋・前防衛事務次官。この後、取り調べを受け逮捕されました=11月28日、東京都新宿区で

前防衛事務次官夫妻を逮捕
接待を受け、業者に便宜の疑い

 防衛省の装備品買い入れをめぐって、「防衛利権」の問題が起きています。接待してくれた業者を有利に扱った疑いで守屋武昌・前防衛事務次官とその妻が東京地検特捜部に逮捕されました。官僚トップの逮捕は10年ぶりですが、次の焦点は自衛隊の武器調達という巨額な予算を食い荒らす汚職がどこまで広がっているか。政治家への疑惑が一気に浮上する可能性も指摘され、政・官・業の関係が根本から問われる事態に発展する気配も強まっています。

 職業に絡んで不正なことをやって得をするのが汚職ですが、とりわけ問題なのが政府や都道府県、市町村など官庁の公務員や政治家が関係する贈収賄です。業者が公務員を接待したり、わいろを贈ったりし、その代わりに公務員が官庁の工事発注や装備品買い入れで業者に特別な配慮をします。これは完全な犯罪で、贈る業者側の行為を贈賄、受けとる公務員側を収賄といいます。
 今回は、2003年から12回繰り返したゴルフ旅行で総額約389万円の接待をしたとされた軍需専門商社「山田洋行」の元専務が贈賄、接待を受けた守屋夫妻が収賄の容疑です。公務員の中でもトップの官僚である事務次官が、奥さんもいっしょに逮捕されたのが、事件の特徴といえます。

装備品は機密を伴い不透明に
業者と入札なしの契約で「闇」

 官僚のトップが逮捕された事件はこれまでもありました。戦後だけでも、逮捕時に現職の運輸次官や元文部事務次官など七件。このうち1件は裁判で無罪、1件は処分保留で釈放になり、5件が有罪です。
 事務次官逮捕ではありませんが、軍事関係の装備品調達など防衛庁(今の防衛省)をめぐる事件は過去にも繰り返されてきました。1978年に航空機を米国の会社から買う問題で、政治家の元防衛庁長官が商社から5億円を受け取ったことがわかり、議員を辞めました。

 98年以降も、装備品の水増し請求や航空機試作、ジェット燃料の入札などをめぐる汚職事件で官僚や国会議員、業者が逮捕されてきました。かかわった航空機メーカーや部署名から「ダグラス・グラマン事件」(78〜79年)「調本事件」(98年)などと呼ばれます。守屋前事務次官の逮捕で、防衛関係の装備品をめぐる事件は、この10年間で5回目となりました。

 問題は官僚のあり方だけではありません。防衛省が買い入れる装備品は、武器や軍事物資ですから、年間2兆円と巨額なうえに軍事機密がつきものです。ともすれば、装備の内容や原価が秘密のベールに包まれます。

 普通の官庁発注事業なら、価格の安さや品質の高さで業者同士を競わせる競争入札によって、契約する業者が決まります。ところが、自衛隊の装備は軍事機密や特異な技術を伴う製品だからと、特定の業者との間で結ぶ「随意契約」が約60%を占めてきました。この土壌が汚職につながりやすく、「防衛利権」を生んできたともいえます。

 そこに、官僚トップの実力者が当事者となっていたとすれば、問題は深刻です。さらに、防衛政策に関係して、防衛省や業者に広い人脈を持った「防衛族」と呼ばれる政治家のかかわりを追及するべきだとの意見も強まっています。業者への情報提供などが明らかになれば、政界も「利権の闇」にどっぷりつかっていたことになります。

(高橋 俊一・ジャーナリスト)

2007年12月9日


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