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ムシャラフ氏の再選決まる
野党のブット元首相らと対立
イスラム教の国、パキスタンの政治が、大きく混乱しています。10月の大統領選挙でムシャラフ大統領(64)が圧勝し、継続してあと五年間、その職にとどまることになりました。大統領は選挙後、非常事態を宣言し、憲法を停止して反対派を抑え込むなど独裁ぶりを強めています。来年一月には国会議員らを選ぶ総選挙が予定されており、ムシャラフ大統領と、独裁に反対する野党のブット元首相らとの対立が深まっています。
陸軍トップの参謀長だったムシャラフ氏は、1999年、軍の力を背景にクーデターで政権を奪い、最高行政官になりました。2001年には、任期が残っていた当時の大統領を辞めさせ、自分が大統領になってしまいました。
今年10月6日にあった大統領選挙は、国民が直接選ぶのではなく、国会議員(上院と下院)と州議会議員が投票する仕組みです。ムシャラフ氏が圧勝しましたが、陸軍参謀長を辞めないまま立候補したため、軍人が大統領になる資格があるのかどうか、最高裁判所が審理していました。不利な判決が出るおそれがあったため、ムシャラフ氏は11月3日に非常事態を宣言し、憲法を停止しました。自由な政治活動を禁じる事実上の戒厳令のもと、大統領に批判的な裁判官を辞めさせ、テレビのニュース放送も中止させました。大統領寄りの裁判官たちは当選無効の訴えをすべて退け、24日、正式にムシャラフ氏の再選が決まりました。
核保有、テロ活動…世界が心配
強引なやり方に批判高まる
アメリカをはじめ世界各国が、パキスタンの政治のゆくえに注目するのには、特別な事情があります。
パキスタンは、98年に核実験を成功させ核保有国になりました。お隣のインドも核兵器を持っていて、国境をめぐりパキスタンと戦争をしたことがあります。強硬な大統領が誕生し、核兵器が使われるようなことになれば、大変です。
また、01年9月、ニューヨークの高層ビルなどに飛行機が突っ込み、たくさんの人たちが亡くなった同時多発テロを指揮したオサマ・ビンラディンは、パキスタンの山奥に隠れているとみられます。隣国のアフガニスタンにも、ビンラディンを尊敬するイスラム教徒がたくさんいます。このため、アメリカはパキスタンに軍事援助を与えてテロ活動を取り締まるように求めています。
アメリカは、パキスタンの政治が安定するように、ムシャラフ大統領が陸軍参謀長を辞めること、野党・パキスタン人民党総裁である女性のブット元首相と協力することを望んでいました。しかし、非常事態宣言のもとでムシャラフ大統領は、ブット元首相を二度にわたり自宅に閉じ込め、政治活動を制限してしまいました。ブット氏は、ムシャラフ氏が大統領の職を辞めるべきだと怒っています。
一月には下院や州議会の選挙がありますが、最近の強引なやり方で、国際的にも国民の間にも、ムシャラフ大統領への批判が高まりました。他の反対派と協力しようとするブット氏との関係をどうするか、テロを防ぎ、安全を確保するためにはどうしたらいいか。大統領はたくさんの難しい問題を抱えています。
(桜井 泉記者〓朝日新聞 外交・国際グループ)
2007年12月2日
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