こどもアサヒ > ニュースドンとこい! > ニュースドンとこい!過去一覧

国際刑事裁判所(ICC)に日本が加盟

集団虐殺の指導者らの罪裁く
民族紛争きっかけ、02年に常設

 戦争にかかわりのない子どもや女性を殺すなど、人間性をふみにじる深刻な罪を犯した人を裁く国際刑事裁判所(ICC)に10月、日本が加盟しました。判決を下す裁判官を日本人から出したり、資金面で支えたり、日本の貢献が期待されています。

 世界の紛争地では、一般市民の集団虐殺などが起きても、その国の司法制度がうまく働いていないため、犯罪の責任が問われずにいるケースが少なくありません。東西冷戦が終わった1990年代には、東ヨーロッパの旧ユーゴスラビアやアフリカのルワンダで民族同士の争いによる大量虐殺が起きました。これらの犯罪を裁く臨時の国際法廷がつくられたのをきっかけに、常設の裁判所を設けるべきだという声が高まりました。98年、イタリアのローマで国際条約が結ばれ、2002年にオランダのハーグに置かれたのがICCです。

 国際法廷にはほかに、国家間の争いごとを裁く国連の国際司法裁判所(ICJ)などがありますが、ICCは罪を犯した個人や国の指導者などを対象にしているのが大きな特徴です。

 ICCが裁く罪は「集団殺害罪」「人道に対する罪」「戦争犯罪」など。加盟国から選ばれた18人の裁判官が裁きます。

 判決でいいわたす刑罰はおもに30年以下の拘禁刑ですが、犯罪の深刻さなどによっては終身刑も。一方でICCの裁判は二審制で、第一審の判決に不満があれば上級審でもう一度裁判を受けることができます。

 ただし、ICCが裁判にできるのは、もともと裁判の権限がある国が犯罪者を裁くつもりや能力がない場合で、しかも条約が効果をもつ02年7月1日以降の犯罪に限られます。

105国加盟、米・アジアは消極的 
日本は財政支援、裁判官立候補

 今回、日本が加わって加盟国は百五になりました。地域別に見るとヨーロッパとアフリカで約3分の2を占める一方、米国やロシア、中国、インド、東南アジア諸国の多くが様々な理由から加盟していません。

 なかでも、中東のイラクなどに大規模な軍隊を送っている米国は、米国人が不当に裁判にかけられるのを恐れて二の足をふんでいると批判されています。

 また、ICCにゆだねられている犯罪は現在、ウガンダ、コンゴ(旧ザイール)、中央アフリカ、ダルフール(スーダン)のいずれもアフリカで起きた犯罪。遠い地域のアジア諸国などにとっては、加盟への意欲が鈍りがちなのが実情です。

 日本は以前からICCの設置に賛成してきましたが、実際に加盟にふみ切るまでに長い歳月がかかりました。日本政府は、国内の法律とのかね合いを整えるのに時間がかかったなどと説明していますが、ICCに反対する米国に遠慮して先送りしてきたという批判もあります。

 それだけに、今回の日本の加盟はアジア諸国の仲間入りを後押しすると期待されています。

 財政面でも、日本はICCの年間予算の約2割にあたる約30億円を負担します。これは加盟国の中で最も多い金額です。また、裁判官十八人のうち健康上の理由などで3人が欠けているため、日本政府は12月の補欠選挙に斎賀富美子・人権担当大使を候補者に立てます。

 ICCの活動に、日本がどんな影響を与えるでしょうか。世界が注目しています。

(玉川 透記者=朝日新聞 外交・国際グループ)

2007年11月4日


朝日学生新聞社のホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。
すべての著作権は朝日学生新聞社に帰属します