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北朝鮮、ミサイル発射のねらいは

緊張高まる日本や米国
米国と直接交渉へ「賭け」か

 北朝鮮が五日、長距離ミサイル「テポドン2」を含む弾道ミサイルを相次いで発射しました。日本やアメリカなど各国に緊張が高まっています。北朝鮮は国際社会から強く批判されることは避けられそうにありません。なのに、なぜ発射準備を進めたのでしょうか。
 テポドン2は、北朝鮮が開発中の新しいミサイルです。ミサイルが初めて見つかった同国の地名にちなみ、アメリカが名付けました。全長三十五(メートル)で、二段に別れる構造になっており、二段目(先端)に積んだ爆弾が標的に向かいます。ミサイルが届く最大距離は三千五百〜六千(キ ロ)で、アラスカなどアメリカ本土にも届く可能性があります。
 北朝鮮の北東部にある基地で、ミサイルが組み立てられ、発射台に設置されているのが五月に確認されました。アメリカが空から監視する偵察衛星で見つけたのです。
 北朝鮮も、アメリカの衛星に見られているのはわかったうえでの行動で、アメリカと直接交渉して自分の言い分を通すため、あえてミサイル発射という危険な「賭け」に出ようとしたとみられています。
 というのも、アメリカは、北朝鮮が偽ドル札を大量につくったり、覚せい剤を製造販売したりするなどして金もうけをしている疑いが強いとみています。そして昨年、北朝鮮がそうした不正な利益を預けたとされる中国マカオの銀行口座から、貯金を引き出せないようにしました。
 これで困った北朝鮮は「金融制裁だ」と強く反発しています。しかし、アメリカが耳を傾けようとしないため、ミサイルの発射で脅して、交渉のテーブルに着かせようとしているとみられています。


発射で制裁緩和された過去
脅しがきかない現在、孤立も

 北朝鮮は、過去にもミサイルを撃ったことがあります。一九九三年には射程約千三百(キ ロ)の「ノドン」を、九八年には射程約千五百(キ ロ)の「テポドン1」を発射しました。
 テポドン1は、一段目が日本海に、二段目は日本列島を越えて太平洋に落ちて大騒ぎになりました。この時は、驚いた当時のアメリカのクリントン政権が北朝鮮と直接交渉を急ぎ、北朝鮮はミサイルの発射を当分しないと表明する代わりに、経済制裁の一部をゆるめてもらいました。今回の行動の背景には、テポドン1での「成功」が念頭にあると思われます。
 しかし、現在のブッシュ政権は「北朝鮮の脅しには屈しない」と強調しています。また、これまで北朝鮮の立場に一定の理解を示してきた中国や韓国も、自制するように呼びかけていました。
 ミサイルの発射で、北朝鮮はいま以上の国際的孤立に追い込まれるのは必至です。軍事力での脅しや不法行為による金もうけはやめて、国際社会の信頼を得ることこそが、アメリカや日本との関係正常化の第一歩だと思います。みなさんはどう考えますか。




(春日 芳晃・朝日新聞外報部)

2006年7月9日


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