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国会で改正案を審議
戦後作られた「教育の憲法」
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| 文科省内に設置した教育基本法改正推進本部の看板を掲げる小坂憲次文科相 |
国会で教育基本法の改正案が審議されています。日本の教育をどうするかという大切な議論です。これからは「日本の伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできたわが国と郷土を愛する態度を養う」ことなどを教育の目標に掲げようというのが、自民・公明の与党改正案のねらいです。
などといっても、教育を受けている真っ最中のみんなには、まだピンとこないかもしれませんね。でも教育基本法というのは、日本の教育のあり方の根本を定めている「教育の憲法」です。この法律が変わると、やがて小中学校でも、教わることが変わってきます。
学校では国語や数学、理科、社会などの勉強をしますね。体育も音楽もあります。日本人はみな、小中学校でこれらの教育を受けます。国民が等しく受けることができる義務教育は「九年間で、無償」とこの教育基本法が決めています。
では学校で教育を受け、勉強する目的は何なのでしょうか。それはただ国語や数学の知識を身につけたり、才能をのばしたりするだけでなく、勉強や学校生活を通して、一人一人の国民の「人格の完成」を目指しているのです。
そのことが教育基本法の第一条「教育の目的」に書かれています。第二条「教育の方針」には「学問の自由を尊重し……自発的精神を養い」などとあります。
教育基本法は全部で十一条と付則の短いものですが、それに従って学校での勉強の仕方も決まります。前文には「個人の尊厳を重んじ……普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育」とあります。
教育基本法は戦後、まだ日本が独立を回復していない時につくられました。戦前は天皇への「忠君」や「愛国」「親への孝行」を説く「教育勅語」が教育の憲法でした。教育基本法はこの「教育勅語」に代わるものとして誕生したのです。
子どものモラル低下で改革
「愛国心」の扱いに賛否両論
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改正に反対する教職員ら=長崎市で
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いま、なぜその改正が議論されるのでしょうか。文部科学省は「子どものモラルや学ぶ意欲が低下し、家庭や地域の教育力も低下している。根本的な改革が必要」と説明しています。
教育基本法は占領下で生まれたため、「個人の尊厳」や「個性の尊重」が強調され、国や社会を大切にする公共心や家族を思いやる道徳心などの教育が軽視されてきた、自分さえよければという利己的な人間が育ってしまった、という意見もあります。
与党案では、第一条「教育の目的」の「個人の価値をたつとび……自主的精神に充ちた国民の育成」の部分が「必要な資質を備えた国民の育成」に変わりました。また「教育の方針」の「自発的精神を養い」などのかわりに、「国と郷土を愛する態度を養う」などが加えられています。
この「愛国心」の部分が議論の的になっています。支持する人たちは「子どもたちに愛国心を教えていない国はない」と主張し、反対の人たちは「一人ひとりを大切にするのではなく、戦前のように個人を国に従属させようとしている」などと批判しています。
「きみは国語も数学もよくできるのに、愛国心が悪いね」なんてしかられる日が来るのでしょうか。
(遠藤 正武・ジャーナリスト)
2006年6月4日
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