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津波と紛争で二重の苦しみ
独立求める武装勢力と対立
インド洋の島国、スリランカ。紅茶や宝石の産地として知られるこの国で最近、政府と反政府勢力の武力衝突が激しさを増しています。2004年12月のスマトラ沖地震による津波で3万人以上が亡くなり、いまも多くの人が避難生活を強いられていますが、この対立で復興は遅れるばかりです。対話による解決をめざし、日本や欧州などが支援をしていますが、なかなかうまくいきません。今月30日には、この問題についての国際会議が東京で開かれます。和平への糸口が、見つかるでしょうか。
内戦の根っこにあるのは、民族の対立です。スリランカでは、仏教徒が多いシンハラ人という民族が人口の約七割を占め、支配的な地位を築いてきました。これに対し、ヒンドゥー教徒を中心とする2割弱のタミル人が、1970年代後半から、北部や東部で分離独立を求めるようになりました。この運動が80年代に激化し、タミル人の「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」という武装勢力と、政府軍による激しい武力衝突に発展したのです。これまでに、双方で6万5千人以上が死亡したといわれています。
政府とLTTEは02年2月、停戦合意を結びました。今も維持されています。しかし、本格的な和平に向けては、自治権がどの範囲まで認められるかなどで折り合いがつかず、LTTEが一方的に交渉を中断。北部や東部で武力闘争をくり返すようになりました。昨年から今年にかけて、当時の外相が暗殺されたり、政府軍兵士が殺されたりする事件も起きています。
国際社会の働きかけも難航
ねばり強く話し合い解決を
国際社会の働きかけで今年2月、約3年ぶりに政府とLTTEの直接協議が実現しました。それでも攻撃の応酬は止まらず、4月に予定された2回目の協議は延期に。五月には、北欧諸国の停戦監視団員が乗った船までLTTEの攻撃を受けました。和平は遠のき、停戦状態にも暗雲が立ちこめているように見えます。
しかし、あきらめるわけにはいきません。北東部には、津波と紛争の2重の被害に苦しむ人たちがたくさんいます。25万人が被災者キャンプで暮らし、失業者は20万人以上ともいわれます。和平を進め、民族や地域を問わず、公平に支援が行き渡るようにしなければなりません。そのため日本からも、明石康・政府代表が何度も現地を訪れ、対話を呼びかけています。
昨年11月に就任したラジャパクサ大統領は、LTTEに厳しいといわれますが、今月来日したサマラウィーラ外相は、「北東部の生活向上も図ります。政府は柔軟になりました。今度は、LTTEが応える番です」と話しました。
少数民族が自分の文化を守り、自分たちのことは自分たちで決めたいと願うのは当然で、尊重されなければなりません。一方で、テロなど武力に訴えることは許されません。同じような問題は、世界各地に潜んでいます。ねばり強い話し合いで、こうした対立は解消できるということを、示してほしいものです。
(佐々木学・朝日新聞外報部)
2006年5月28日
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