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米国がインドの原子力開発に協力

ブッシュ大統領、会談で合意
民生用査察受け入れの見返り

 ブッシュ米大統領とインドのシン首相は二日、米国がインドの原子力開発に協力するとの合意をしました。インドは核施設を軍事用と民生用に分け、原発など民生用については国際機関の査察を受け入れる。その見返りに、米国は原子力技術や核燃料をインドに提供する、との内容です。

 インドは一九九八年に核実験をし、隣のパキスタンも対抗して実験に踏み切りました。米国は日本や欧州諸国とともに両国を非難し、原子力関連の技術や核燃料の輸出を禁止してきました。

 いまインドは急速な経済発展をしていますが、それをまかなうだけの電力が供給できていません。米国の協力によって原子力技術を確立しながら、国際的な地位向上を図るのがインド側のねらいです。一方、米国側にもインドとの協力を深めることでビジネスチャンスを広げ、アジアの大国として台頭する中国に対してにらみをきかせる意図があるものとみられます。





核不拡散体制が「骨抜き」に
米に利益のインド特別扱い

 しかし、今回の合意は、世界の核不拡散体制を「骨抜き」にするものだとの批判も高まっています。

 一九七〇年に発効した核不拡散条約(NPT)は、当時すでに核実験をしていた米国、ソ連(現ロシア)、英国、フランス、中国の五か国だけに核兵器を持つことを認めました。それ以外の国には電力供給などでの核の民生利用を認める一方で、ひそかに核兵器をつくらないよう査察受け入れを義務づけています。

 インドは核兵器を持っていますが、「NPTは不平等だ」として加盟していません。隣のパキスタンや、核兵器を持っているとみられるイスラエルも未加盟です。核兵器の開発が疑われている北朝鮮とイランはNPTに加盟していながら条約に違反しているとして非難されています。

 今回の合意で米国が「お墨付き」を与えたことで、インドは「六番目の核大国」として事実上認められたことになります。これによって、核兵器開発が疑われている北朝鮮やイランなどに「やっぱり核兵器は持ってしまった方が勝ちだ」と思わせてしまうかもしれません。核廃絶を訴える被爆国・日本にとっては受け入れがたいことです。

 NPTは核保有国に対して核軍縮の義務も課しています。しかし、加盟していないインドがそれを果たすかどうかわかりません。インドが軍事用だとする核施設は、今回の合意では査察を受ける必要もありません。

 ブッシュ大統領は「インドは世界最大の民主主義国家」と持ち上げました。米国の利益になるインドには「特別扱い」で核兵器保有を認める一方、NPTが認める「原子力の平和利用の権利」を訴えるイランに対しては「悪の枢軸」だとして認めないというのです。

 この「二重基準」を中国では「米国が、ある国にはニンジンを差し出し、別の国には太いこん棒を振り上げるのを人々は見た」(国営新華社)と報じています。

  (田井中雅人・朝日新聞外報部)

2005年3月19日


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