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米国産牛肉に背骨混入で米側の言い分


米農務省の報告書を受け、「日米合意を守るという決意を、日本の消費者が理解してくれることを願う」と話すシーファー駐日米国大使=2月17日、東京の米国大使館で

米農務省の報告書
再開直後の特殊なミスと強調

 去年十二月に、二年ぶりに輸入ができるようになったばかりの米国産牛肉が、わずか一か月後の今年一月にまた輸入禁止になったことは、みなさんご存じだと思います。これについて、米国の農務省は二月十七日、調査報告書を発表しました。
 輸入が再び禁止になったのは、牛海綿状脳症(BSE)の原因となる物質がたまりやすい脊柱(背骨)が付いたままの米国産牛肉が、成田空港の検疫所で見つかったからです。報告書によると、脊柱が付いたまま輸出してしまったのは、「食肉業者も検査官も輸出条件に十分に精通していなかった」という人為的ミスが原因だったとしています。

 問題の牛肉は、オハイオ州の処理会社が解体した後、ニューヨークの食品加工会社で最終的に商品化され、日本向けに出荷されました。

 去年の輸入再開にあたって、日米両国は、脊柱などの危険部位を取り除く、生後二十か月以下の牛に限る、という条件に合意していましたが、両方の会社とも、危険部位を取り除かなければならないという条件がわかっていませんでした。両社には農務省の検査官も常駐していたのですが、やはり日本向けの輸出条件をよく知らず、見逃してしまいました。
 こんなミスが起きた背景には、米国内で危険部位の除去が必要なのは、大部分が生後三十か月以上の牛で、今回日本向けに出荷された牛肉は、国内向けであれば何も問題がなかったという点が挙げられています。報告書は「日本への輸出再開後初めての(生後数か月の)子牛の輸出だった」として、今回の問題は特殊な事例だったと強調しています。





食肉処理の信頼性に疑問も
輸入の再開に日本側は慎重

 しかし、日本に早く輸入を再開するよう求めてきた米国側の対応がこのようにずさんだったことで、日本の消費者が不安を募らせることは、避けられません。

 しかも二月上旬には、日本向け輸出の話とは別に、米国内の食肉処理施設二か所で、〇四年六月から〇五年四月まで、原因不明で歩行が困難になった牛二十頭が食肉用に処理されていたと伝えられました。牛が正常に歩けないというのはBSE感染の兆候とされており、米国内でも食用にすることが禁止されています。

 その後、米政府は「これらの牛はいったん検査をパスした後、骨折した」として、食品としての安全性に問題はなかったと発表しましたが、これも米国の食肉処理の信頼性に疑問を投げかけるエピソードでした。

 米農務省の報告書について、中川農水相は「日本側にとって不十分であると(小泉首相に)報告した」と述べています。また、安倍官房長官も「(報告書を)しっかりと精査し、疑問点があれば質問する」として、慎重に対応する方針を示しています。

 そもそも去年の輸入再開について、急ぎすぎだったという批判もあります。日本政府としても、消費者が納得できるような再発防止策が示されないと、輸入再開を決めるのは難しいでしょう。米国産牛肉が日本で出回るのは、まだかなり先になりそうです。








  (坂口 智・朝日新聞外報部)

2005年3月5日


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