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欧州などの新聞にムハンマドの風刺画
禁止の偶像崇拝、テロを連想
最近、世界のイスラム教徒が激しく怒っています。イスラム教で神の言葉を預かり人々に知らせる預言者、ムハンマドの風刺漫画が、ヨーロッパなどの新聞に、おもしろおかしく描かれているからです。
昨年九月にデンマークの新聞が、頭に爆弾のようなターバンを巻いたムハンマドの漫画など十二枚を載せたのが始まりでした。今年一月には、ノルウェーの雑誌がこの漫画を再び載せて騒ぎが大きくなりました。
なぜ、イスラム教徒は反発するのでしょうか。イスラム教では、神や預言者の絵を描いたり像をつくったりして、これに向かって祈ることを「偶像崇拝だ」として禁止しています。ムハンマドの絵を描くこと自体が許されていません。しかも爆弾のようなターバンを頭に巻いていてテロリストを連想させるので、イスラム教徒は自分たちの宗教がひどくからかわれている、と受け止めています。
漫画は、その後もフランスやドイツ、マレーシアなどの雑誌や新聞に次々に掲載されています。イスラム教徒たちの怒りは頂点に達し、デンマーク製品を買わない運動やシリアのデンマーク大使館に放火するなど騒ぎが広がっています。イランは、デンマークとの貿易をやめることにしました。ヨーロッパには、中東やアフリカ出身のイスラム教徒がたくさんいます。こうした移民たちも抗議の行動を繰り広げています。
「報道の自由」かかげる欧米
異なる宗教に思いやり大切
欧米では、「報道の自由」こそ、民主主義の大原則だと考えられています。イスラム教徒をテロリストと決めつけて、反発する雰囲気もあります。そこでこうした漫画が、あちこちの新聞に掲載されるのです。しかしアメリカのブッシュ大統領は、報道の自由の大切さを指摘しながらも「その自由には他者のことを思いやるという責任が伴うべきだ」と語っています。
過去には英国人の作家が「悪魔の詩」という小説を書き、イスラム教をおとしめる内容だとしてイスラム教徒が激しく反発したことがあります。一九八九年、当時のイランの最高指導者ホメイニ師は、作者に死刑を宣告しました。日本では、この小説を翻訳した大学の助教授が、何者かに殺されています。
国連のアナン事務総長は今、「文化や宗教が異なる人々との間で生じる誤解や敵意は、平和的に対話で解決すべきだ」と呼びかけています。最近は多くの外国人が留学や結婚、就職などで来日して、私たちの身近なところで生活しています。文化や宗教が異なる人たちと、どうしたら仲良く暮らせるのでしょうか。人が嫌がることをあえてすることはない、つまり思いやりの精神が大切でしょう。国際化された現代の社会に生きてゆく私たちの知恵がためされているのです。
(桜井 泉・朝日新聞外報部)
2005年2月19日
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