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「東横イン」偽装工事問題
身障者用の客室などを撤去
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| 無届け改造工事が発覚した東横インで、床下を調べる横浜市の担当者=1月27日、横浜市中区で |
「耐震偽装」事件のさなかに、また建築にまつわる不正です。こんどは大手ビジネスホテルチェーン「東横イン」(西田憲正社長)が身体障害者用の客室や駐車場をこっそり、通常の客室やレストランなどに改造し、建築基準法や条例違反をくり返していたものです。全国に展開する百二十二軒の東横インのうち、六十軒で違法改造をしていたとみられます。
西田社長は「時速六〇キ ロ制限の道を六七〜六八キ ロで走ってもまあいいか、という意識でやってしまった」と言っています。利益をあげるためには、条例や法律が義務づける身障者用客室や駐車場は邪魔だといわんばかりのやり方でした。
手口は悪質です。この一月下旬、オープンした東横イン「横浜日本大通り駅日銀前」(横浜市、十階建て、百三十三室)は去年暮れの完成後、検査機関の工事完了検査や横浜市の立ち入り検査をパスして、開業を待つばかりでした。ところが一月中旬に突貫工事で、一階正面玄関側の身障者用駐車区画と昇降式駐車場、二階の身障者用客室(一室)をつぶし、駐車場をガラス張りのビジネススペースに、身障者用客室は通常の客室とリネン庫(シーツなど備品を入れる部屋)に勝手に改造し、なに食わぬ顔でオープンしていました。
身障者用客室の無断取り壊しは北海道、福島、神奈川、京都、兵庫、鳥取、島根、沖縄などの東横インで広く発覚。一般駐車スペースも仙台では二十五の客室に、横浜でも二十の客室に早変わりという具合です。
不正改造の結果、建築基準法が定める容積率(敷地に対する床面積の割合)が制限を大幅に超過。また不特定多数が利用する施設のバリアフリーを義務づけたハートビル法にも違反する可能性が出ています。
二月二日には「神戸三ノ宮U」をオープンさせましたが、身障者用の客室が整備されていなくて、県条例違反が明らかなのに、見切り発車の開業でした。
もうけを優先させる経営者
身障者に対する意識の低さ
なぜこんなことを重ねているのか。西田社長はこう弁解しています。
「身障者用の客室をつくっても年に一、二回しか来なくて、一般の人には使い勝手が悪い」「一般客室は十二平方メートルだが、身障者用は二十平方メートルを超える場所をとる」。駐車場については(「横浜・日銀前」のように)「正面が駐車場になっていると見栄えも悪いでしょ。だから、とっちゃえと……」。
私は朝日新聞の現役記者のころ、イギリスやアメリカに駐在しました。もう二、三十年前のことですが、どんなに込んでいる駐車場でも、身障者マークのついている場所は、いつもちゃんと空いているのが印象的でした。いまも同じです。そこでの違反駐車の罰金がものすごく高いのも理由ですが、「空けておこう」というみんなの意識が感じられました。
ロンドンの音楽の殿堂・ロイヤルフェスティバルホールの正面玄関前には、身障者用の駐車スペースだけが五、六台分、確保されていたのを思い出します。
ばれなければいいや、だってそのほうがもうかる……そんな経営者はいやですが、身障者に対する意識の低さが、この事件でとりわけ悲しく思われました。
(遠藤 正武・ジャーナリスト)
2005年2月12日
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