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イランの核開発 なぜ問題になってるの

核兵器転用を恐れる各国
秘密で進められ疑念を抱く

 世界第四位の産油国、イランが独自に核開発を進めていることをめぐり、国際社会の緊張が高まっています。イランが「平和利用目的の核開発の権利」を主張する一方、米国や英仏独は核兵器開発につながりかねないと心配し、核開発の中止を求めています。この問題は国際原子力機関(IAEA)で話し合われてきましたが、米国や英独仏は、イランへの経済制裁の権限を持つ国連安全保障理事会に問題を付託(報告して審議)するよう求め、IAEAは付託を決定しました。

 なぜ、核開発が問題になるのでしょうか。ウランやプルトニウムは原子力発電や医療などに利用される一方、原子爆弾などの核兵器にも使われます。各国が勝手に核開発を進めると、当初は平和利用目的でも、技術や原料を核兵器に転用することもできるため、世界の平和と安全がおびやかされることになります。

 こうしたことを防ぐため各国は「核兵器の不拡散に関する条約」(NPT)を結んでいます。条約加盟国に誠実に核軍縮に取り組むよう求め、核兵器を持つ国(米ロ英仏中)以外の加盟国には、軍事目的での核開発をしていないことをIAEAが確認するための査察(保障措置)を受け入れる義務を課しています。

 イランも同条約に加盟しています。平和目的と宣言し、IAEAに報告して核開発を進めることは条約で認められています。しかし、イランの核開発は二〇〇二年八月、政府と対立する組織の発表で初めて明らかになり、一九九一年に中国からウランを買ったこともわかりました。世界に秘密で核開発を進めていたことが、米国などの「イランには核兵器開発の意図がある」との疑いにつながっているのです 。

新大統領がウラン濃縮再開
揺らぐ中東情勢、NPT体制

 IAEAの警告や英仏独との外交交渉の結果、イランは〇四年十一月からウランの濃縮関連活動をやめていました。しかし、〇五年八月、保守強硬派のアフマディネジャド大統領の就任直後に、濃縮の前段階であるウラン転換作業に着手し、事態は再び緊迫化しました。IAEAは十一月、ウラン濃縮をロシアで行う案を軸に英仏独の外交交渉を見守ることにしました。

 それでもイランは今年一月、「研究目的」として濃縮関連活動を再開、米国や英独仏は国連安保理への付託を求めました。一方、イランに原子力発電所の建設で協力するロシア、原油の輸入を頼る中国、NPTを「原子力の平和利用の権利を制限する米国など先進国の押しつけ」と批判する発展途上国などは、イランへの経済制裁などには消極的です。

 イランは原油の消費を減らし輸出を増やすため、核燃料をくり返し使える「核燃料サイクル」の確立が目標だと主張しますが、日本以外の国は核燃料サイクルの実用化を断念しているのが現実です。もし、イランの核兵器開発が確認されれば、イスラエルなどの反発を招き、中東情勢は一層不安定になります。NPT脱退と核兵器保有を宣言した北朝鮮と同じ事態を中東でも招くのか||イランの核問題は、世界の核拡散防止体制にとって正念場でもあるのです。


  (杉井 昭仁・朝日新聞外報部)

2005年2月5日


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