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中南米に「反米」の動きが広がる

反米政権が続々生まれる
おひざ元の事態、米国は警戒

チャベス大統領を支持する人々=11月、ベネズエラの首都カラカスで

 中南米で、米国のさまざまな政策や政治家に反対する「反米」の動きが広がりつつあります。直近のいくつかの国の選挙で、米国への対決姿勢を明らかにしている指導者が選ばれました。米国は距離的に近い国々での事態に、警戒感を強めています。
 国連演説でブッシュ米大統領を「悪魔」と呼んだ、南米ベネズエラのチャベス大統領が3日、対立候補に大差をつけて3選を決めました。中米ニカラグアでは、1980年代に米国と敵対したサンディニスタ民族解放戦線のオルテガ元大統領が11月に復活当選を決めました。エクアドルでも同月に、チャベス氏を信奉するコレア氏が大統領選当選を決めました。
 この地域では長年、キューバの国家指導者カストロ国家評議会議長が反米で知られてきました。同議長は現在、病床ですが、反米精神は、カストロ氏を「師」と仰ぐチャベス氏を通して広がりそうな気配です。
 こうした動きは、2005年11月のブッシュ大統領のアルゼンチン訪問の際にわかりやすく現れました。開催都市では「ノー・ブッシュ」などと書かれたポスターや落書きが目につき、数万人が集まったとされるデモも起きました。

中東と異なり経済が主要因
米国は柔軟な対応とる必要


 イスラム教が幅広く信じられている中東諸国で、反米感情が広がっているニュースは、しばしば報道されます。キリスト教を強く信仰しているブッシュ大統領が進めたイラク戦争とその後の同国の泥沼化が、原因の一つとされています。
 一方、中南米での反米には、米国が進める経済政策が、その大きな要因にあげられそうです。

右派は保守系で、中南米では米国寄りの政権。左派は革新系で、社会政策の充実に力を入れる政権

 たとえばアルゼンチンは、国際通貨基金(IMF)と協調して、経済再建のために海外からの資金の導入や国が経営する企業を民間企業に変えることを積極的に進めてきました。しかし、2001年に経済危機で打撃を受けて、04年の失業率は12%と、今も苦しんでいます。
 こうした事態が米経済が主導した流れの中で起きたので、アルゼンチンの人々に米国への不満がたまりました。同国だけでなく、中南米の多くの国で、同様の事態が指摘されています。
 また、政治家の思惑もあります。チャベス氏は自国ベネズエラで、たくさんの石油が取れる立場をうまく利用しています。最近、石油の値段は高く、その分、同国は余分なお金を手にしています。国内で貧しい人々への対策を進める一方、同氏はニカラグアやエクアドルでの大統領選へ関与したといわれています。
 中南米諸国の多くは、貧困の解消や教育、医療などの分野に高い関心を持っています。一方、米国は貿易の拡大やテロとの戦いに重点を置いています。
 中南米諸国で反米がこれ以上広がるのは、米国にとって好ましくない事態です。米国はイラク政策を修正しつつあるように、中南米諸国に対しても、より柔軟な対応を取る必要があるでしょう。

(高野 真吾・朝日新聞外報グループ)

2006年12月24日


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