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被害額大きく警視庁捜索
投資集め、通信事業は虚業?
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多くの被害者が詰めかけた被害対策弁護団の説明会〓二日、東京都千代田区
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インターネットと結ぶ格安電話技術に市民から投資を集めていたIP電話事業者「近未来通信」に、詐欺の疑いがかかっています。実際に動いている設備はごく一部で、投資家への配当も次に集めた資金から回していたのではないかという容疑です。被害者弁護団が結成され、大型詐欺事件に発展する可能性が強まっています。規制緩和で劇的に増えた通信業者の経営実態が、よくわからないことも問題になりそうです。
近未来通信は、健康器具販売会社を経営していた社長が1997年に毛皮や宝石の販売をめざして設立したそうです。翌年から社名を変えて、通信事業に乗り出しました。
普通の電話回線とインターネット網をつなぐには「中継局」を設置しますが、近未来通信はそのための投資を、広告やホームページで広く呼びかけるやり方で知られていました。警視庁の調べでは、「通信の知識や営業活動は必要ありません」とPRし、約1000万円の資金を出して中継局のオーナー(代理店)になれば、毎月数10万円の配当があるなどと強調。約400億円を集めたともいわれます。
不適切な勧誘、マルチ商法か
こうして、売り上げが2005年7月期に180億円に達したそうです。しかし、総務省の調べで、国内外に2466台あると報告されていた中継局のうち、実際には11月27日現在で7台しか動いていないことがわかりました。売り上げも、本来の業務である通信料は2%以下しかなく、ほとんどが投資家から入る資金を繰り入れていたそうです。
これでは新しい投資家からの資金を別の投資家の配当に回す自転車操業です。警視庁は、見せかけだけの虚業だったとの疑いを強め、詐欺容疑で近未来通信の本社や支店を家宅捜索しました。
このほか、近未来通信は投資家が別の投資家を見つけてくると四十万円以上の手数料を払う契約を一部の人と交わしていたこともわかりました。こういう勧誘は、不適切な「マルチ商法」に似るとされています。
規制緩和、経営把握は不十分
通信事業は、以前は電電公社だけがやっていましたが、公社が民営化されてNTTとなった1985年から新しく開業する業者(会社)が急増。事業者数は20年間で1万4000社を超えました。ほとんどが、近未来通信のように、自分だけの回線を持たずにNTTやKDDIなど大手の回線を借りてサービスを提供する業者です。
こうした業者の実態は、監督する総務省も十分につかみきっていません。2004年から規制がゆるんで、経営状況までを政府が審査する「許可制」から、所在地やサービス内容を知らせるだけで事業を始められる「届け出制」にかわったためです。
そこに詐欺まがいの業者がひそんでいる可能性を指摘する声もあがっています。近未来通信の事件により、IP電話事業をどうするかという問題とともに、通信業者に対する規制のあり方全体が問われています。
(高橋 俊一・ジャーナリスト)
2006年12月17日
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