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プーチン政権批判して亡命した男性
昼食後に悪化、体内から猛毒
スパイ映画の中から飛び出してきたような事件が、英国に衝撃を与えています。11月23日、亡命先のロンドンの病院で死亡したロシア人の元スパイの男性の体内から、猛毒の放射性物質「ポロニウム210」が見つかりました。世界最大級の情報機関「ロシア連邦保安局(FSB)」のかかわりも指摘され、事件をめぐり、英国とロシアの関係も悪化しています。
死亡したのはアレクサンドル・リトビネンコさん(43)。ロシアのプーチン政権が進める内戦を批判し、2000年に英国に亡命しました。
英国の報道によると、11月1日昼、ロンドン中心街の日本料理店で、リトビネンコさんはイタリア人研究者と食事しました。研究者は、プーチン大統領を批判していたロシア人女性記者が10月に暗殺された事件に関与したとされるFSB職員らの名が書かれた書類などを渡したといいます。
数時間後、リトビネンコさんは急に体調が悪化。やせ衰え、髪が抜け落ち、3週間後に死亡しました。
体内から見つかったポロニウム210は、リトビネンコさんが寄った料理店やホテル、ロンドンとモスクワを結ぶ旅客機など十数か所で検出され、市民に不安が広がっています。ポロニウム210は非常に希少で高価な物質で、入手するには専門研究施設が必要とされ、国家的な関与が疑われています。
ロシア情報機関の関与疑う
過去にも事件、未解決のまま
リトビネンコさんを狙ったのはだれか。疑惑の人物が複数浮かんでいます。
昼食をともにしたイタリア人の男は、FSBと関係があったとされています。本人はリトビネンコさんと情報交換したことは認めていますが、殺害については否定しています。
問題の昼食の直後、リトビネンコさんはロンドンのホテルでロシア人の男3人と会い、紅茶を飲んだことも判明。このうち1人は、知り合いの元FSB職員だったとされています。
プーチン政権と対立して英国に亡命したロシア人大富豪が、プーチン大統領の評判を落とすために、FSBの仕業に見せかけて殺したとする見方もあります。
しかし、今のところ犯人を特定する決め手は見つかっていません。
リトビネンコさんは生前「プーチンに狙われた」と語っていますが、プーチン大統領は全面的に否定。しかし英国では、ロシアの関与を疑う見方が強まっています。ロシア情報機関の関与が疑われる事件がたびたび起きているからです。
03年、ロシアの新聞社の副編集長が、猛毒ダイオキシンによるとみられる症状で急死しました。04年にはウクライナのユーシェンコ大統領が選挙直前、食後に突然顔が発疹で腫れ上がり体調を崩しました。今年十月にはロシアの女性記者暗殺。最近もロシアの元首相代行だった男性が重体となり、毒を飲まされた可能性が指摘されています。
被害者はいずれもロシア政府を厳しく批判していました。事件は謎だらけで、大半が未解決です。
今回の事件では、今のところロシア当局の関与を示す証拠はありません。ただ、ロシア政府は英国への捜査協力はもちろん、過去の事件の真相も明らかにし、悪いイメージをぬぐい去る努力を求められています。
(西村 大輔・朝日新聞外報グループ)
2006年12月10日
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