|
福島県の前知事を逮捕
県工事でわいろ受けた疑い
 |
| 押収した資料を車に運び入れる東京地検特捜部の係官=10月24日、福島県庁で |
福島県や和歌山県でダムやトンネルなどの工事をめぐって汚職・談合事件が起き、公共事業の進め方や政治家・公務員のあり方が問題になっています。業者に競争させて工事金額を決めるはずなのに、引き受ける業者が前もって秘密のうちに決められ、それに政治家や公務員までがかかわっていたのではないかという疑惑です。福島県では当時の知事が辞職したうえ、わいろを受け取った疑いで東京地検に逮捕されました。
国や自治体が行う公共工事は、いくつもの業者を競争させて、安い金額をつけた業者を選ぶのが原則です。このため、「いくらで工事できます」という金額を前もって提案させます。この制度を「入札」といいます。
ところが、入札前に業者同士が連絡し合って「今度の工事はA社」「次はB社」と、どこが請け負うかを決めておき、他社はそれより高い金額の提案を出して、その業者に決まるように仕組む不正行為があります。これが「談合」で、しばしば問題になってきました。
福島県で今年9月、下水道やダム工事について談合の疑惑が強まりました。業者同士が話し合っていただけではありません。どの業者にするかをひそかに決めるのに当時の佐藤栄佐久知事の弟である会社社長が関係し、談合(競売入札妨害)容疑で東京地検特捜部に逮捕されたのです。
調べでは、この社長は、談合をリードする仕切り役となり、工事を請け負った業者に土地を普通より高く買わせる形でわいろを受け取ったとされています。知事の弟という立場で力を持っていたといいます。県の元土木部長も、業者との取り次ぎ役だったとして、同じ容疑で逮捕されました。
問題は、佐藤知事が談合に関係していたかどうか。知事は「知らなかった」と関係を否定しましたが、弟逮捕の責任をとって辞職に追い込まれました。
東京地検特捜部は調べを進めた結果、佐藤前知事が弟といっしょにダム工事の謝礼として建設会社からわいろを受け取った「収賄」容疑が強まったとして、逮捕に踏み切りました。
高値発注は税金の無駄遣い
政官業の関係見直しが必要
和歌山県でも、4件のトンネル工事をめぐって、県庁のナンバー3に当たる出納長が談合に地元業者を加えるように指示した疑いで、大阪地検特捜部に逮捕されました。出納長は容疑を否認したそうですが、地検は工事を発注する県の職員が談合をリードした「官製談合」とみています。
談合の疑惑は、ほかにも各地で持ち上がっています。名古屋では、市発注の下水道工事について名古屋地検特捜部が捜査中。三重県では、道路工事に談合の情報が寄せられ、入札が中止されました。大分県杵築市が発注した魚の増殖場造りでも、談合疑惑で市議会に解明のための特別委員会が設けられています。
談合が行われると、業者の競争は見せかけだけで、実際にはありません。工事金額は競争によってもっと安くなるはずなのに、高い値段で決まってしまいます。財源はもとをただせば、みんなの税金なのですから、それを余分に使われたことになります。談合を防ぐためには、入札の公正なやり方を考えるとともに、政治家や公務員と業者の関係をクリーンにすることが必要です。
(高橋 俊一・ジャーナリスト)
2006年11月5日
|