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開発許可を一部取り消し
環境破壊を主張、他に思惑も
日本と欧州の企業が参加しているロシア・サハリン州での石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」が行き詰まっています。ロシア政府が3年前にいったんは出した開発の許可を一部、取り消したためです。背景には、ロシア政府の主張する環境問題のほか、資源価格の高まりからくる国同士の思惑のぶつかり合いがあるようです。
サハリン島は北海道の北にあり、沿岸の海底には豊富な資源が眠っています。現在、これを採掘する2つの国際的な計画が進行中で、「サハリン2」はこのうちのひとつ。英蘭系のロイヤル・ダッチ・シェル、三井物産、三菱商事の計3社がお金を出して、開発に参加しています。
計画では、島北部の沖合から採掘された原油と天然ガスをパイプラインで南部に運び、そこから日本などに向け、船で出荷する予定です。とくにガスの年間の生産量は日本の年間輸入量の2割近くを占め、エネルギーの自給率が低い日本にとっては重要なプロジェクトです。原油の生産量はそれほど大きな割合を占めませんが、それでも原油の九割を中東に頼る日本には、採掘地の分散化をはかる意味で重要視されています。
ところが、ロシア政府はこの9月、開発許可を一部取り消す決定をしました。理由として@一部海底を通るパイプラインが鯨のえさ場の邪魔になるA地上を通るパイプラインを敷設するため、許可した以上に森林を切った――などの「環境破壊」をあげています。この主張を裏付けるように、内外の環境団体もこれまで、同様の指摘をしてきました。
天然資源の国家管理強める
外資の技術必要との見方も
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| 「サハリン2」建設ストップで、森を切り開いたパイプライン埋設現場に置きざりになったパイプ=9月末、サハリン島で |
しかし、取り消しの背景に別の理由をみてとる向きもあります。
そもそも計画が決まったのは、1990年代のエリツィン前政権時代で、ロシア企業が開発に参加していません。世界的な資源価格をみると、このところの中国などの需要増もあって上昇する傾向にあり、現在のプーチン大統領は、天然資源を国家の強い管理下に置くことをねらっていると伝えられています。日本などでは「開発に揺さぶりをかけることで、ロシア企業を有利な条件で参加させようとしているのではないか」との見方が出ています。
ロシア政府は今後、1か月ほどかけて調査を進め、事業を中止させるかどうかを判断すると言っています。計画は総額200億ドル(約2兆3千億円)の大きな事業で、中止になれば、出資した企業に大きな打撃となります。
ただ、資源を開発する技術は、ロシアよりも日本などの外資企業の方が優れていて、中止になればロシアにとっても「宝(資源)の持ち腐れ」になりかねません。このため、日本の専門家の間でも「遠からず、開発が再開される」との楽観的な見方も出ています。
(高野 弦・朝日新聞外報部)
2006年10月15日
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