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改革を進める首相に強い力
チェック力が弱まって心配
総選挙で自民党が圧勝しました。この結果を受け、日本の政治はどこに向かうのでしょうか。短期的な動きと長期的な動きに分けて考えてみます。
短期的にはまず、最大の争点だった郵政民営化法案がスピード成立するでしょう。国民が選挙ではっきりイエスの意思を示したため、法案を否決した参院の雰囲気も大きく変わりました。反対票を投じた自民党議員の中から、賛成に転じる人が続出しています。
第二に小泉首相が政治的権威を高め、強力に改革を推し進める力を得ました。国民が強いリーダーを望んだのですから、それはそれでよいのですが、気になるのは、行き過ぎがあっても、チェックする力が自民党内で非常に小さくなっていることです。改革が暴走しそうになったとき、ブレーキを踏む役割は、連立与党の公明党にゆだねられることになるのでしょうか。
ちなみに、今回の選挙では、都市の無党派層が大量に自民党に流れました。国の利益より個人の自由を重く見るリベラル色の強い層がなぜ、自民党に投票したのか。それは古い利権を打ち壊し、風通しのよい社会を実現する方向を小泉改革に読み取ったからでしょう。この人たちは、改革が暴走すれば、容易に反自民に転じます。与党は選挙結果が「白紙委任」ではないことを自覚すべきです。
第三に民主党では「何を目指す政党なのか」、党の独自性を明確にする動きが出てくるはずです。敗因は結局のところ、自民に競り合う勢力としての理念がはっきりしなかったことに尽きるからです。
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| 開票速報場で、当選のバラをつける小泉首相=12日、東京都千代田区の自民党本部で |
首相を選ぶための総選挙に
小選挙区制で派閥も消滅へ
長期的には、総選挙が英国などと同じように、首相を選ぶための「国民投票」としての性格を強めていくことになるでしょう。この傾向が強まると、誰を党首にするかは各議員の命運を左右する極めて重要な事柄になります。へんてこな人を党首にすえたら、自分が選挙で落選する危険があるからです。
官僚が作った答弁を棒読みする大臣、自分の選挙区のことしか考えない利益誘導派、裏舞台で暗躍する政界寝業師。こういった古いタイプの議員は、これからは2大政党の党首にはなれないと思います。
悪名高かった派閥も自然消滅に向かうでしょう。
かつての自民党政権の実態は「派閥という名前の小政党による連立政権」でした。1選挙区から複数の候補者が当選する中選挙区制では、どうしても同じ政党の候補が争うことになるので、議員は派閥の保護を必要としたのです。しかし、小選挙区制で重要なのは党の公認です。公認をもらえなかった造反議員の選挙での苦戦は、党の力の増大と派閥の弱体化を印象づけました。
19世紀の英国首相ピールは保守党でありながら、地主を保護する穀物法の廃止に踏み切りました。その結果、保守党は分裂しましたが、自由貿易という国の方針が固まり大英帝国発展を加速させました。郵政民営化の評価が定まるのはかなり先のことですが、戦後の社会体制が今、大きな岐路にさしかかっているのは確かです。小泉改革が私たちの社会を豊かにする道なのか、見極めたいと思います。
(久保谷 洋・ジャーナリスト)
2005年9月18日
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