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低下する日本の出生率
人口減ると社会保障に影響
日本では生まれる子どもの数が年々減ってきています。このような傾向を少子化と呼びますが、若者が少なくなり、お年寄りが増えると、例えば年金などが立ち行かなくなります。総選挙で少子化対策や年金改革が争点となっているのは、このためです。
1人の女の人が一生に産む平均の子どもの数を「合計特殊出生率」といいます。家族の基本は男女のカップルですから、2人以上子どもができれば人口は維持できる理屈なのですが、日本では1970年代後半にこの出生率が2を割り込みました。92年度の国民生活白書に「少子社会」という言葉が初めて登場。2004年には1・29にまで低下しています。
赤ちゃんが減っても、直ちに日本の人口が少なくなるわけではありません。医学の進歩によって、死亡率も同時に低下してお年寄りの数も増えたからです。ただ、それも限界に達し、今年1月から6月までの半年間に日本の人口は上半期として初めて3万1034人減少しました。05年の通年でも人口がマイナスに転じれば、政府見通しより2年早く人口減少時代に突入することになります。
少子化が進むと、働き手が少なくなっていきます。労働人口が減れば、経済が停滞する原因となるだけでなく、年金や医療など世代間の助け合いで運営されている社会保障に影響が出ます。特に年金は、現役世代が払った保険料をお年寄りの世代に「仕送り」する形で運営されているので、働き盛りが減って高齢者が増えると、大変です。若い時に多額の保険料を払ったのに、年をとったら年金はわずかしかもらえないという事態になりかねません。
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| ナースステーションの新生児たち。今年上半期、日本の人口がマイナスに転じた |
働く女性へのバックアップ
労働時間を短縮させる例も
どうしたら少子化に歯止めがかかるのでしょうか。
子どもを持つかどうかは全く個人の自由です。個人が尊重される私たちの社会では、国が「もっと子どもを産め」とくちばしを入れることは絶対に許されません。ただ、この社会を子どもを産み、育てていくことがたやすい社会に改造していくことは、大変大切なことです。
働く女性が増えているにもかかわらず、今の社会は育児と仕事を両立させる条件が整っていません。育児休暇の制度はありますが、会社によってはとりにくい雰囲気があります。認可保育園は満員のところが多く、自治体によっては多くの人が入園のために順番待ちをしています。社会保障の予算は老人医療など高齢者に七割が振り向けられ、育児サービスなど子ども向けは4%にすぎないのです。
01年の総務省の調査によると、小さな子どもがいる世帯では、働くお母さんが家事・育児に平日1日当たり5時間費やすのに対して、お父さんはわずか21分でした。男性の意識改革と同時に、労働時間の短縮などゆとりある社会の実現が必要です。「時短」によって出生率が1・9にアップしたフランスの例が参考になります。
労働人口を増加させるという視点からは、移民の受け入れなど、大きな政策の転換が考えられます。日本と同じく出生率が1・29になったスペインはこの方向を模索しています。
(久保谷 洋・ジャーナリスト)
2005年9月4日
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